本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日本マイクロソフトの平野拓也 代表取締役社長と、新日鉄住金ソリューションズの東條晃己 IoXソリューション事業推進部長の発言を紹介する。
「クラウド事業を全売上高の50%にすることが大切なのではない」 (日本マイクロソフト 平野拓也 代表取締役社長)
日本マイクロソフトの平野拓也 代表取締役社長
日本マイクロソフトが先ごろ、同社の2017年度(2016年7月~2017年6月)の中間期にあたって事業の状況について記者説明会を開いた。平野氏の冒頭の発言はその会見で、2017年度の目標に掲げている「全売上高におけるクラウド事業比率50%」の意味について語ったものである。
平野氏は会見で、事業の状況として「AI(人工知能)」「働き方改革」「MR(Mixed Reality:複合現実)」「クラウド」を話題に上げた。その全容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは同氏が語った「クラウド事業比率50%」の意味に注目したい。それについて、同氏は次のように説明した。
「日本マイクロソフトのクラウド事業は、2016年度第4四半期(2016年4~6月)で全売上高の32%になった。これを2017年度に50%まで引き上げることを目標としている。ただ、50%にすることが大切なのではない。肝心なのは、50%になるとどうなるかだ。全売上高の半分を占めるようになれば、クラウド事業はまさしく当社のメインストリームになる」
さらに、続けてこう語った。
「クラウド事業が全売上高の50%になれば、導入されたお客様に継続して使っていただくための努力がなお一層不可欠になる。継続して使っていただくために、お客様とどう対話していけばよいのか。パートナー企業とどう協業していけばよいのか。そうした取り組みをメインストリームの事業としてさらに磨き上げていく必要がある。50%という数字は目標だが、私としてはそうした取り組みを、メインストリームの事業としてしっかりと行っていけることをアスピレーション(強い願望)として持っている」
つまり、クラウド事業比率が50%になれば、日本マイクロソフトをクラウドサービスベンダーとして強靱な体質の企業に変革できる、というのが平野氏の狙いだろう。
そのクラウド事業の状況については、「Office 365をはじめとして順調に伸びている。ただ、Microsoft AzureにおけるPaaSの領域やAIの活用については、まだまだ拡大する余地がたくさんある。それらの拡充を加速して、50%の目標とともにアスピレーションを実現していきたい」と説明した。