さらに、クラウド事業における今後の課題を問われた同氏は、「品ぞろえや機能、価格などについては十分な競争優位性があると確信しているが、これから課題となるのは、お客様のマインドシェア(ブランドの占有率)をさらに獲得していくことだ。そのためにも営業・マーケティングを一層強化していきたい」と語った。
アスピレーション、そしてマインドシェアという言葉に、平野氏のクラウド事業に対する思い入れを感じた会見だった。
「製造現場ではモノだけでなくヒトもつなげた“IoX”を推進すべき」 (新日鉄住金ソリューションズ 東條晃己 IoXソリューション事業推進部長)

新日鉄住金ソリューションズの東條晃己 IoXソリューション事業推進部長
新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)が先ごろ、デジタルファクトリやスマートロジスティクスの構築を支援する「IoX(Internet of X)ソリューション」を提供開始すると発表した。この事業の責任者である東條氏の冒頭の発言は、その発表会見で、製造現場における「IoX」の必要性を説いたものである。
IoXとは、「モノのインターネット」を意味する「IoT(Internet of Things)」に、「ヒトのインターネット」を意味する「IoH(Internet of Humans)」を加えた考え方で、「IoTとIoHの仕組みを高度に連携・協調させることで、より安心・安全でスマートな現場業務を実現し、お客様のビジネスにとって新しい価値を生み出すことを目指している」(東條氏)というNSSOL独自の表現である。

NSSOLが提唱する「IoX」の考え方(出典:NSSOLの資料)
同社ではこのIoXを推進するため、2016年4月に「IoXソリューション事業推進部」を設置。新日鉄住金グループをはじめとした製造業や流通業などの顧客企業とIoXソリューションの開発および実証実験に取り組んできたという。
同社は、強みとする製造/流通系ソリューションの業務知見や、研究開発部門のシステム開発研究センターで蓄積されたクラウドやビッグデータ分析、機械学習、AR(拡張現実)・ウェアラブル技術などの先端技術、これまでのシステムインテグレーション力を総合することで、IoXの導入および活用を検討している企業に対して実現性のあるソリューションを提供することができるとしている。
会見では、IoXソリューションの事例として、遠隔作業支援システムやピッキング支援システムなどのデモも披露していた。IoXという言葉が浸透するかどうかは分からないが、東條氏の冒頭の発言のように、製造現場ではモノだけでなくヒトもつなげた仕組みが必要だと訴求するのは、現場業務を長年にわたって支援してきたNSSOLならではのこだわりだろう。今後の適用事例の広がりに注目しておきたい。