日産自動車、2017年上期にグローバル人事システムを全世界規模で稼働 - (page 2)

大河原克行

2017-02-07 07:00

 グローバル人事システムの導入に際しては、「社員の意識を大きく変える必要があった」とVijay氏は語る。

 「現場には、いまの形で仕事ができているのに、変える必要があるのか?といった考え方があったのは事実。この意識を変え、信頼される人事部門になることが必要であった。また、人事部門のやり方が変われば、グローバル標準での新たなKPIの導入も必要である。そして、HR部門だけの取り組みでなく、IT部門の協力が不可欠であり、この連携も重要であった。同時に、多くの社員とコミュニケーションを取り、研修も実施した」とする。

 人事システムの場合は、定量的に導入効果を推し量ることは難しいと言われる。そのため、経営層やIT部門が、人事部門には投資しにくいという判断が働き、結果として、レガシーシステムが残るという状況が生まれていた。

 IT部門では、今回のグローバル人事システムについて、「トップマネジメントやグローバルタレントマネジメントの対象となる人材を、きちっとカバーすることや、従業員100人あたりにかかる作業の生産性などを評価する指標を設けている」(住野氏)とする。

 Vijay氏も、「グローバル人事システムが効果を上げることで、従業員のモラルを高いレベルで維持することができる。また、適切な人材を、素早く最適なポジションに異動させることも、日産を強くすることにつながる。それによって、顧客満足度が高めれば事業の成果にもつながる」とする。

 グローバル人事システムは、グローバルレベルでの従業員情報の可視化や優秀人材の人財プールの構築だけでなく、ダイバーシティのさらなる強化にもつなかげる考えだ。

 一方で、日産自動車がワークデイを選択した理由についても説明した。

 Vijay氏は、「ほかにもクラウドを活用した人事システムはあるが、その多くが、既存システムをアドオンする必要がある。オーガニックにクラウドだけで展開することができるのはワークデイしかない」とし、「日産で独自に開発するものがなく、プラットフォームとして活用できる。しかも、クラウドであることから、6カ月ごとに年2回の更新により、ビジネスプロセスが拡張し、固有の用件を取り入れながら、機能がアップデートされる。しかも、それらの機能は、全世界の要求によって進化するものであり、他社の事例を日産でも活用することができることにつながる。日産自動車では、試用段階から、すでに3年間に渡ってワークデイを活用しているが、現時点では満足している」とする。


日産自動車 グローバル情報システム本部一般管理システム部主担の住野琢磨氏

 住野氏もIT部門の立場から、「ワークデイは、アーキテクチャーがシンプルであり、統一感のあるシステムを実現できる。また、セキュリティやリライアビリティも機能の1つとして評価している。クオリティ、コストといった観点からも評価できるものである」とする。

 一方で、住野氏は、「ワークデイの導入メソドロジィを活用するだけでなく、日産自動車が持つ標準的なプロジェクトの進め方も導入し、これをすり合わせて展開した。過去のやり方ではうまくいかないこともある。単純にソリューションプロバイダのやり方を踏襲するのではなく、工夫を加えることが大切であり、その点は、導入において大きな学びになっている」としたほか、「ワークデイに対しては、日本市場向け機能を、もう少し早くリリースしてほしいという要望がある。新たなアップデートは、エコシステムのなかで決定されることになるが、日本市場向け機能を増やすには、日本のユーザーの声を大きくしていく必要がある。現在、日本企業のユーザー会を立ち上げており、他社と連動しながら、機能要求をしていくことになる」とした。

 日産自動車は、国内に本社を置くグローバル企業のなかで、Workday HCMを導入した初の企業となる。今後、同社を中心に日本のユーザー企業の要望により、日本市場向けの機能が増えれば、活用する企業の広がりにもつながるだろう。

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