日産自動車は、グローバル人事システムを、2017年上期にも、全世界規模で稼働させることを明らかにした。全世界12万4000人の従業員を対象に運用することになる。同社のグローバル人事システムには、ワークデイのクラウド型人事ソリューション「ワークデイ ヒューマン キャピタル マネジメント(Workday HCM)」を導入。
日産自動車 Global Digital HR Division General ManagerのRaju Vijay(ラジュ ヴィジェイ)氏
日産自動車 Global Digital HR Division General ManagerのRaju Vijay氏は、「ワークデイにより、統一したマスターシステムを活用でき、グローバルで統一した評価の実現と、全世界で有効に人材を活用することができる環境が構築できる」とした。
日産自動車では、欧州ではSAP、米国ではピープルソフトを活用するなど、全世界で3つの異なる人事管理システムを導入していたという。同社では、2013年から、グローバルで統一した人事システムの導入プロジェクトをスタート。共通要素と各国ごとの固有ともいえる要素を抽出しながら、人材を適材適所で活用するために必要とされるシステム構築に向けた青写真を描き、それをもとに、香港および南アフリカでの試行を開始したという。
ここでは、人材管理や業績管理に関する機能やプロセスについて検証。その部分において効果が実証されたことで、2014年から北米に展開。また、2015年からは、日本および欧州に展開してきた。2016年にはアジア地域にも展開を広げ、2017年上期には、全世界のすべての国をカバーすることになる。
Vijay氏は「パフォーマンスグローバルテンプレートを2016年から導入し、これも3月末で完了する。グローバル人事システムを、今後、2~3年をかけて磨いていくことになる。近い将来には、AIも活用していくことになるだろう」としたほか、「この仕組みを、Renaultに拡大することも充分に可能であると考えており、そこにも魅力を感じている」などと発言。「従業員の魅力を増していき、自動車業界でどんな働き方ができるのかを提示したい」と語った。
日産自動車では、3つの異なる人事システムが稼働していたことで、グローバルの観点から、統一した評価ができないという課題を抱えていた。
「日産自動車にとって、人は財産である。“人財”をしっかりと評価し、人が持つスキルを活用し、どう育成するかが大切である。だが、地域ごとに測定値が異なっており、3つの異なるシステムごとに作業を行う必要があった。グローバル人事システムを導入することで、ハイパフォーマンスな従業員を、世界統一の基準の上で、評価できるようになった。また、グローバル共通タレントプールを通じて、人財を選び、評価し、管理し、育成し、ローテーションプログラムに反映し、後継者育成やリーダーシップの継続性にも生かすことができる」と述べた。
これまでは、欧州から日本に異動した場合、欧州で活用している人事システムから、日本の人事システムに情報を移動し、しかも、異なるシステムの上でこれを活用するということになっていたが、こうした課題も解決されることになる。
グローバル人事システムは、85~90%をグローバル共通で評価し、約10%を現地のコンプライアンスなどに合わせたものにしたという。
日産自動車 グローバル情報システム本部一般管理システム部主担の住野琢磨氏は、「特に給与や勤怠との連携は、それぞれのリージョンごとの事情や法規、習慣にあわせている。日本では、勤怠が含まれるのは当然だが、国によっては、勤怠が含まれていない場合がある」という。
国ごとの事情にも配慮しながら、基本的にはグローバル統一の仕組みへと変更しているわけだ。