ノキアは、モノのインターネット(IoT)の独自運用を目指す多国籍企業向け製品によって、エンタープライズ分野の事業強化を図っている。
サービスとしてのIoTネットワークグリッドである「WING」の提供によって、大企業が、国を越えて移動する物品や車両を追跡することが可能となる。一例を挙げると、Nokiaは、貨物移動の国際的監視を行いたい貨物輸送ビジネスがWINGを利用することに期待を寄せている。
WINGは、Nokiaの顧客である通信事業者が自社ブランドで提供するか、Nokiaが直接多国籍の大企業向けに販売することになる。
WINGは、海上の貨物に接続するための衛星が陸上ではモバイルネットワークに切り替わるといった、企業資産の追跡に必要な接続性に加え、デバイス管理、セキュリティ、およびアナリティクスといった関連サービスも提供する。また、接続された対象物が使用するeSIMのプロビジョニングも取り扱うので、顧客は滞在中の国のモバイルネットワークを利用することができる。
このサービスの背景には、大企業が行う必要のある各業務地域での通信事業者との個別契約を不要にする狙いがある。Nokiaのネットワーク事業マーケティング担当バイスプレジデントであるPhil Twist氏は、WINGに関して、「現在は国を越えた接続サービスがないために不可能な、多国籍大企業によるIoTサービスの提供を実現するものである。米国のソリューション、ヨーロッパの一部におけるソリューション、アジアの一部におけるソリューションはあるが、これらすべてを統合したサービスはこれまでどこにもなかった」と語った。
WINGは、2016年に発表されたNokiaの「IMPACT」プラットフォームを活用している。
Nokiaは2017年第3四半期にはWINGの本格展開を開始するとしており、健康、輸送、およびユーティリティ事業に照準を当てている。
WINGは、Nokiaのネットワーク事業の顧客基盤を従来の通信事業者を中心としたものからさらに成長させ、エンタープライズ分野に展開することを狙って新たに提供されるサービスである。Nokiaは、WINGおよびIMPACTによる同社のIoTポートフォリオの強化に加え、電力会社などを対象とした新しいルータを最近発売している。また、「HERE」マップ事業を自動車メーカーのコンソーシアムに売却したものの、自律走行車市場への取り組みも拡大している。
Nokiaの最高経営責任者(CEO)であるRajiv Suri氏は同社の最新四半期の業績公開にあたり、「(2016)年初め、Nokiaは主にモバイルネットワークに焦点を当てていたが、2016年末には、モバイル、固定、ルーティング、光、スタンドアロンソフトウェアまでがそろったポートフォリオを有し、新たな顧客層への事業拡大によってより高い収益を追求する確実な機会を得た。そしてデジタルヘルスやデジタルメディア分野の新たな可能性のあるビジネスを擁し、特許およびブランドライセンス事業を大きく成長させた企業となった」と語った。
ネットワーク事業の売り上げは前年同期比で14%の減少となったが、同社はこれを「厳しい市場環境」によるものだとしている。
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この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。