ガートナー ジャパンは2月6日、日本におけるクラウドERPの利用動向に関する調査結果を発表した。同調査は、日本全国の従業員数20人以上のITユーザー企業約2,800社へのアンケート回答をベースにしている。
これによると、現在のところ「ERPはクラウドでは利用しない」とした企業が73.8%に上った。しかし、5年後には24.8%、10年後には15.6%と急減することが分かった。また、「自社運用型ERPのほとんどをクラウドERPに置き換える」とした企業が現在の4.3%から10年後には28.0%と近くに増加する傾向にあることも判明した。
クラウドERPの利用イメージ (各1つ選択)
企業規模別では、従業員数1000人以上の大企業の方が、同1000人未満の中堅・中小企業よりも「今後、ERPの機能をクラウドで調達しよう」と考えている傾向が強いことも分かっている。
今後利用したいクラウドERPの業務用途については、財務会計が73.5%でトップとなり、次いで販売管理(57.5%)、人事給与(53.4%)となった。このことから、ガートナーでは、「記録システム」の側面が強い管理系ERPの領域でクラウドERPの利用を考える企業が多いとしている。また、複数の拠点で同じ仕組みを共有しやすく、外出先からモバイル経由でアクセスできる販売管理系が生産管理系の31.6%に比べて2倍近く選択された。
さらに、クラウドERPへの期待と懸念に関しては、期待事項のトップ3として「導入コスト」「利用コスト」「セキュリティ」の順となった。懸念事項のトップ3は利用コスト、セキュリティ、サービスの存続性の順に多い結果となった。
ガートナーでは今回の結果について、クラウドERPのコストとセキュリティについては過度な懸念や期待を持つのではなく、ベンダーの提案内容や運用能力を、現実に即して客観的に評価する姿勢が望まるとしている。評価方法としては、オンプレミスとの長期的な総合保有コストの比較や、第三者機関によるセキュリティおよび内部統制に関する評価結果の精査などが挙げられている。