3月16日、「ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略&アプリケーション・アーキテクチャ サミット2017」のセッションの1つとして、日産自動車でグローバル情報システム本部生産・SCMシステム部に在籍する光角文隆氏と、ソフトロード代表取締役社長の劉忱氏が登壇。「日産試作基幹システムの先進的なリフォーム」と題して講演した。
日産自動車 グローバル情報システム本部生産・SCMシステム部 光角文隆氏
日産自動車は2016年11月に、メインフレーム上で稼働していた試作用部品の発注管理アプリケーションをオープン環境に移行した。ソフトロードが提供するシステム移行サービスを利用した。講演では、日産自動車の光角氏がシステム移行プロジェクトについて、ソフトロードの劉氏が自社のシステム移行サービスについて、それぞれ紹介した。
日産自動車のシステム移行プロジェクトは、使用していたIBM製メインフレームのサポート切れがキッカケだった。メインフレームを更新しない方針を採ったため、約100万ステップのプログラムを1年間で移行する必要があった。プログラム本数は画面が202個でバッチが937個。データベースは188個で、帳票は186本である。
移行のポイントは、ソフトロードの自動変換ツールを使うことによって、移行の効率を高めることだった。また、移行と結合テストを、完成したものから五月雨式に実行するやり方とした。十分なテスト期間も確保した。
ベンダーの選定時、1年以内という提案を出してきたベンダーはソフトロードだけだった。「スクラッチ開発は最初から検討しなかった。短期間で現状を維持できるリフォームを選んだ」(光角氏)。最終的にはテスト期間を長めにとり、ソフトロードの提案に2カ月を追加した13カ月のプロジェクトを開始した。
光角氏は、移行プロジェクトを成功させるポイントの1つめとして、優先順位を明確にすることを挙げる。現行機能を保証することと納期が絶対の条件であり、機能改善はリフォーム後に検討することとした。変更点も最小化し、帳票のPDF化/ファイル化やホスト間連携のFTP化など、システムの単純化も図った。
ポイントの2つめは、テストデータを充実させることだった。本番データのほかに、テスト専用データを用意した。ポイントの3つめは、開発チームとのコミュニケーションを充実させることだった。オフショア開発先(中国の西安市)からの問い合わせとブリッジSEによる受け止め、Q&A専任ブリッジSEによる集中対応、日産自動車の担当者による回答、などだ。