代表取締役社長兼最高経営責任者のエバ・チェン氏
トレンドマイクロは3月29日、2017年の法人向け事業戦略を発表した。既存のセキュリティ技術と先進技術を組み合わせた「融合防御融合防御」と、IoT向けセキュリティソリューションの展開に注力する。
同社は2016年の法人向け事業戦略で、同社のセキュリティ製品やサービスとパートナーのソリューションなどを組み合わせ、ユーザー企業規模に応じた統合的なセキュリティ対策を提供する「Connected Threat Defense」(CTD)という構想を発表。2017年の戦略で同社は、CTDのコンセプトをベースに、実績ある既存技術と人工知能(AI)などの先進技術を融合させた防御ソリューションを推進する。
記者会見した代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)のエバ・チェン氏は、ITインフラの環境やユーザーのIT利用、脅威の変化するスピードが加速しているとし、「トレンドマイクロは変化へ常にいち早く対応し、顧客を守り続けていく」と話す。
2017年の戦略に関わる変化として同氏は、ITインフラではクラウドコンピューティングの普及やIoTおよび第5世代(5G)ワイヤレス通信技術の台頭、ユーザーのIT利用ではモバイルやIoTの増加とプライバシーへの懸念、脅威ではランサムウェアやサイバー詐欺、IoTのハッキングを挙げる。こうした変化に着目しながら、融合防御とIoTセキュリティに注力するとした。
統合・連携・融合によるセキュリティ対策をユーザーの規模に応じて提供する
取締役副社長の大三川彰彦氏
国内市場での事業戦略について取締役副社長の大三川彰彦氏は、融合防御に基づく製品・サービスの強化と、マネージドセキュリティサービス(MSS)を軸とするパートナーソリューションの2つを、クラウド&仮想化、ネットワーク、ユーザー防御の3領域で展開すると説明する。
クラウド&仮想化領域では、国内外のパートナーとの連携を強化するほか、統合サーバセキュリティ製品「Trend Micro Deep Security」でのネットワーク仮想化技術やコンテナ化技術への対応を推進していく。ネットワーク領域でも国内パートナー製品との連携を強化し、SDNやNFV(ネットワーク機能仮想化)を活用するソリューションやMSS向け製品の提供に注力する。ユーザー防御では、パートナー経由で提供する中小企業向けの統合型セキュリティ対策サービスを強化し、クラウド型統合ゲートウェイセキュリティ製品「Cloud Edge」の販売拡大を図る。
人工知能を活用した検知など先端技術をセキュリティ製品に取り込み、強化していく
またIoT分野では、スマートフォーム(住宅)、スマートカー(自動車)、スマートファクトリー(工場)向けにセキュリティソリューションを開発し、各業界のメーカーやサービス事業者と連携し、ユーザーに提供していく。
IoT分野ではユースケースに応じたソリューションをパートナーと展開する