ネットワンシステムズは4月5日、クラウド向けソフトウェアパッケージを手掛ける新会社「ネットワンコネクト」を設立したと発表した。アリスタネットワークスおよびヴイエムウェアとの提携に基づくもので、「SD-HCI」という構想による製品の開発と販売を手掛ける。
3社は1月31日に、新しいクラウドネットワークソリューションパッケージに関する戦略的提携で合意した。この提携に基づいて、ネットワンシステムズが100％出資によるネットワンコネクトを4月3日に設立し、代表執行役社長に平川慎二氏が就任した。また、米Arista Networks グローバルオペレーションズ＆マーケティング担当上級副社長のMark Foss氏と、米VMware ネットワーキング＆セキュリティ担当最高技術戦略責任者のGuido Appenzaller氏もアドバイザーとして参画している。
新会社は、ネットワンシステムズが打ち出すSD-HCI構想に基づくソフトウェアパッケージの開発と販売が主力になる。記者会見した執行役員 最高マーケティング責任者 ビジネス本部著の篠浦文彦氏によると、SD-HCIとは「Software Defined Hyper Converged Infrastructure」といい、クラウドやオンプレミスのITインフラに関する包括的なソリューションをソフトウェアパッケージとして提供する。まずは、ネットワンシステムズらが得意とするネットワーキング領域で製品化し、将来的にサーバなどのコンピューティングやストレージなどにも広げていく計画だ。
「SD-HCI」の概念イメージと提供予定の機能
篠浦氏は、「現在のハイパーコンバージドインフラの製品は、事前検証済みのハードウェアおよびソフトウェアの構成によってITインフラの導入を容易にしているが、SD-HCIはソフトウェアを中心とすることで、顧客が既存のハードウェア資産を生かしながら、新たなクラウドシステムへ移行できることを目指している」と話す。
最初のネットワーキングソリューションでは、プライベートクラウド向けにアリスタの物理ネットワークの管理ソフトウェアと、ヴイエムウェアの仮想ネットワーク技術「NSX」の管理機能を統合したモジュールを7月に投入する。また、10月までにネットワンシステムズが提供するオンプレミス・クラウド間接続の「クラウドHUBサービス」やパブリッククラウドとの接続、セキュリティ機能を追加する予定。さらに2018年初頭には、SD-WANによる拠点間接続や障害予兆検知の機能などを加える。
提供を予定する機能の詳細
平川氏によれば、当初はネットワーキングソリューションをネットワンシステムやグループ会社のネットワン パートナーズ経由で官公庁や大企業向けに提供する。将来的にはネットワングループ以外の販売チャネルも拡大していく。新会社の設立理由は、「ソフトウェア中心の事業はネットワンシステムズにとって新しい取り組みであり、戦略パートナーとのスピーディーな連携に必要な意思決定ができるためにも必要だった」（篠浦氏）としている。
新会社に参画するAristaのFoss氏は、「VMwareとはVXLANの開発をはじめ、ネットワークの自動化に向けて協業してきた経緯がある。そのノウハウを日本で提供したい」とコメント。またヴイエムウェア ソリューションビジネス本部長の小林泰子氏は、「VMwareはサーバ仮想化のイメージが強く、ネットワーク管理者からは遠い存在だった。しかしNSXは世界で2400社以上が導入しており、ネットワーク仮想化は進んでいる。日本でも加速させたい」と話した。
篠浦氏は、企業ではクラウド導入が進みつつあるものの、既存のオンプレミス環境やプライベートおよびハイブリッドのクラウド環境との接続を円滑にできる手段がなく、クラウドの本格的な活用に至っていないと指摘する。そこでITインフラを容易に構築できるハイパーコンバージドインフラの特徴と、異なる環境を柔軟に組み合わせられるという「ソフトウェア定義」の特徴を融合したのが、SD-HCIだという。
またネットワンコネクト 事業統括部長の中嶋二三男氏は、「パブリッククラウドの利用が増えており、企業内のシステムとどう統合していくかが今後の焦点。（企業内システムとの本格連携を目指す）パブリッククラウド事業者からも問い合わせが来ており、顧客が使いやすいクラウドシステムのあり方を検討していきたい」と話している。
Arista NetworksのFoss氏、ネットワンシステムズの篠浦氏、ネットワンコネクトの平川氏、ヴイエムウェアの小林泰子氏（左から）
