IDC Japanは3月29日、SDN(Software-Defined Network)とNFV(Network Functions Virtualization)に関する国内市場予測を発表した。当初描かれていたSDNの万能性という幻想から現実的な導入への歩みを始め、2015年の国内SDN市場は201億円にまで達したことが分かった。
(IDC提供)
最も先行してきたのはデータセンターSDN市場で、商用環境や本番環境への導入が進んだ。2015年は2014年を上回る成長率で拡大、市場規模は121億7900万円に達し、「第1の収穫期」とも言えるという。
データセンターSDN市場は、適切な適用先を発見しつつある中で導入顧客や規模が拡大し、またソリューションの進化と共に適用領域が広がり、2015年~2020年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は38.5%と高い成長を続けるとIDCでは予測している。
また国内NFV市場も、2016年以降に本格的な立ち上がりが見込まれている。国内大手通信事業者でもvEPC(virtual Evolved Packet Core)の商用展開が始まっており、モバイルコアの仮想化がNFV市場の先導役になると同社では見ている。
vEPC/vIMS(virtual IP Multimedia Subsystem)に加えて、vE-CPE(virtual Enterprise Customer Premises Equipment)、vRAN(virtual Radio Access Network)、vRouterといったユースケースが国内NFV市場をリードし、2015年~2020年のCAGRは53.9%と予測した。特に、2020年にサービス開始が予定されている5Gサービスを見据えた設備投資が始まる2019年ごろには、その成長が再加速すると予測した。
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企業ネットワークSDN市場においては、企業ネットワーク領域で高い存在感を有するシスコシステムズやアライドテレシスなどが、企業ネットワークを対象としたSDN関連ソリューションの展開を本格化させており、市場にとってプラス要因と言えるとした。
また、企業ネットワークSDNが提供する根源的な価値が、これからの企業ネットワークの方向性に合致している点で潜在的な成長可能性を持っているとIDCでは見ている。こうしたことから、企業ネットワークSDN市場の2015年~2020年のCAGRは41.6%と予測した。
NTTのNetroSphere構想に代表されるように、通信事業者はこれまで以上に、柔軟で迅速、かつ多様なネットワークを実現できる自由度の高い次世代ネットワークを構想している。こうした次世代ネットワークの実現には、NFVやSDN技術の活用が必須であり、通信事業者ネットワークにおける仮想化の動きは不可避であると、同社は指摘する。
同社コミュニケーションズ グループマネージャーの草野賢一氏は、以下のようにコメントしている。
「通信事業者向けベンダーはNFV化に積極的に取り組むべきである。汎用プラットフォームでは通信事業者が求める性能や信頼性を担保できないといった、仮想化に取り組まない理由はいったん捨てるべきである。汎用プラットフォームをどれだけ有効に活用できるかが、これからのベンダー間の成否を分けるポイントになる」