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SAPジャパンの中堅中小企業向け新戦略は奏効するか

松岡功

2017-04-06 12:43

 SAPジャパンが中堅中小企業向けビジネスを大幅に強化した。同社にとってはこれまでなかなか浸透できなかった市場への改めての挑戦となる。果たして奏効するか。

中堅中小企業向け市場の裾野拡大へ新戦略を展開


会見に臨むSAPジャパンの牛田勉バイスプレジデント ゼネラルビジネス統括本部長

 「SAPの製品・サービスは大手企業向けというイメージが強いが、今回は組織も変え、新たな戦略のもとに、中堅中小企業向けビジネスを強力に推進していきたい」

 SAPジャパンで中堅中小企業向けビジネスを担当する牛田勉バイスプレジデント ゼネラルビジネス統括本部長は、同社が4月4日に開いた中堅中小企業向けビジネス戦略についての記者説明会で、開口一番こう強調した。

 牛田氏によると、2016年におけるSAPグローバルでの実績において、34万5000社の顧客のうち80%以上が中堅中小企業だという。また、この市場に向けたオンプレミス型ERP「SAP Business One」は5万2000社以上、クラウド型ERP「SAP Business ByDesign」も3600社以上の顧客が採用しており、中堅中小企業向けビジネスは同社にとって重要な成長領域となってきている。

 そうしたグローバルの動きを踏まえて、SAPジャパンでも2017年から中堅中小企業向けビジネスを重点戦略の1つに掲げ、まずは1月に、図1のように営業組織体制を変更し、陣容の強化ととともに営業戦略も刷新した。


図1:2017年から営業組織体制を変更

 組織変更でとりわけ注目されるのは、中堅中小企業向けとして、年商規模によって250億円以下と250億〜1000億円以下の2つの組織を新たに設けたことだ。つまり、250億円以下の企業も対象とし、ビジネスの裾野を広げていくことを明確に表した格好だ。

 牛田氏はこの戦略について、「おそらくSAPジャパンとしてかつてない取り組みで、中堅中小企業向けビジネスへの注力ぶりを如実に表したもの。裾野拡大へチャレンジャーとして取り組んでいきたい」と力を込めて語った。

「チャレンジジャー」として臨む年商250億円以下の激戦市場

 中堅中小企業向けビジネスの強化に向けた具体的な取り組みとしては、「製品」「パートナー」「マーケティング」の3つの切り口で図2に示した施策を展開していく構えだ。牛田氏はとくに製品について、「今回、新たな戦略を打ち出したのは、これまでのオンプレミス製品だけでなく、強力なクラウドサービスを提供できるようになったことが大きなきっかけだ。これにより、コスト削減や短期での導入といったクラウドのメリットを、中堅中小企業にも訴求できるようになった」と説明した。


図2:中堅中小企業向けビジネスの具体的な施策

 また、パートナー施策についても「中堅中小企業向けビジネスとしての協業パートナーをこのほど11社、新規に獲得することができた。加えて既存の250社のパートナーのうち、中堅中小企業向けにも数十社が取り組んでいただける状況になってきた。この分野はパートナーとの連携が不可欠なので、引き続き注力していきたい」と牛田氏は語った。

 振り返れば、SAPジャパンは1990年代初頭から中堅中小企業向け市場に対して、幾度も新たな戦略を打ち出して挑戦したものの、なかなか浸透できずに今日まで来たというのが筆者の印象だ。それに対し、今回の戦略は牛田氏が「SAPジャパンとしてかつてない取り組み」と言うように、強力な製品群、手厚いパートナー施策、緻密なマーケティング展開の3拍子を揃えて挑む態勢が整ったように感じる。

 ただ、とりわけ年商250億円以下の企業向けビジネスとなると、日本の業務アプリケーション市場は世界中でも比類がない激戦市場だ。しかも、競合ベンダーもクラウドサービスへの移行には注力しており、SAPジャパンに確かなアドバンテージはない。だからこそ、牛田氏も自らを「チャレンジャー」と位置付けているわけだが、果たして今度こそSAPブランドを幅広く浸透させることができるかどうか、大いに注目しておきたい。

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