DevOpsを大々的に導入しようと計画している企業は、その前に1度落ち着いて考えてみるべきだ。新たなワークフローを導入してから、そのメリットを十分に享受できるようになるまでの過程には、いくつものハードルがある。
Ingineering.ITの創業者兼社長であり、「Rethinking IT in the Digital Service Economy」の著者であるJeff Sussna氏は、DevOpsの導入は、「事例によって状況はさまざまだ」と述べている。「エンタープライズ向けのDevOps関連カンファレンスに登場するような、DevOpsに全力投球しており、総合的に見て大きく前進している企業も一部にはある。しかし一般的に言えば、私が知る企業の多くは、段階的に少しずつ問題に取り組んでおり、まだDevOpsがどういうもので、どう進めればいいかを理解しようとしているような状況だ」(Sussna氏)
調査の結果は、DevOpsを正しく導入できれば、デプロイメントにかかる時間の短縮や、サービスに関する問題の減少、従業員のやる気の向上などを含む、肯定的な成果が出ることを示している。
この記事では、DevOpsを導入しようとする企業がよく経験する5つの問題を紹介する。
1.経営陣からの支持を得る
インフラや運用のプロフェッショナルにサービスを提供しているForresterのリサーチャー、Elinor Klavens氏によれば、経営陣の支持は、パフォーマンスが高くリリースサイクルが短いDevOps組織になるために不可欠のものだ。ただし、「企業内部には、DevOpsに対する理解について、経営幹部と現場の人間の間にずれがある」と同氏は述べている。最近公表されたForresterのレポートによれば、経営幹部と従業員では、戦略やDevOps導入の進捗状況、顧客体験などに対する見方が大きく異なるという。
これにはいくつかの原因が考えられる。1つには、役員はリリース管理自動化ソフトウェアなどのDevOpsツールの費用を負担しているが、現場ではそれが実際には使われていないかもしれないということがある。別の理由として、DevOpsを導入しようとする企業は、多くの場合、従業員全員を顧客体験に関する評価の対象にするわけではないということも挙げられる。しかしもし、直接には顧客と接触しない従業員が、顧客に影響を与える仕事をしている場合、その従業員には、役員の評価指標だけでなく、顧客体験に関する評価指標も適用されなくてはならない。
このギャップを縮める方法の1つが、顧客にDevOpsの連続的デリバリサイクルを通じて価値を提供することをゴールとして、顧客の成果を重視するアプローチであるデザイン思考を用いることだ。Forresterによれば、Captal Oneは開発にこの顧客中心アプローチを適用しているという。
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