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グーグル傘下DeepMindと英NHSの取り組みにみる、医療分野へのAI活用の今とこれから - (page 2)

Jo Best (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2017-04-20 06:30

 UCLHとの提携では、DeepMindが頭部がんや頸部(けいぶ)がんのスキャン画像700件の提供を受け、AIを用いた「セグメンテーション」の可能性を模索することになる。セグメンテーションは、患者のスキャン画像から、放射線治療中に放射線を照射する部位と、照射しない部位を特定するという時間のかかるプロセスだ。現在のところ、このプロセスには4時間を要している。DeepMindとUCLHは、AIの利用によって最終的にこのプロセスを1時間にまで短縮できると主張している。

 こういった提携で最も恩恵を受けるのがDeepMindなのか、それともNHSなのかは明らかになっていない。Moorfieldsのスキャン画像によってDeepMindは、特定眼疾患の検出精度を向上させ、自社システムの潜在的な商業価値を高めるだけでなく、病院にとって必須のソフトウェア製品を作り上げる可能性もある。しかし、米ZDNetが情報開示を請求したところ、両者の間では訓練後のソフトウェア展開に関する取り決めは何もなく、DeepMindはMoorfieldsに対して、データを提供する前段階の処理にかかる人件費を支払っているだけだとの回答を得た。

 この点については、UCLHとの提携も同様だ。米ZDNetの情報開示請求に対してUCLHは、「UCLHとDeepMindのコラボレーションは、結果の公表という目標を持つ研究に注力している。現在のところ、今後の展開についての計画はない。(中略)DeepMindはデータアクセスの対価をUCLHに支払っていない。DeepMindは、データの匿名化とセキュアな移送というUCLH側の作業人件費を支援する」と回答している。

 いずれのトラストも、データの統制権はDeepMindではなく自分たちが持ち続け、スキャン画像の所有権も譲渡しないという点を既に明確にしている。DeepMind側では、スキャン画像にアクセスできる人物を統制するデータ監視担当者を任命するとともに、提携が終了した時点でデータを破棄することになっている。

 データの取り扱いに慎重を期している点をアピールする理由は、DeepMindが先にRoyal Free London NHS Foundation Trustとの間で合意した提携の内容によって、患者データの取り扱いに対する大きな批判が巻き起こったところから来ているのだろう。

 急性腎臓障害に関連する160万人分の患者データ(同障害とは直接関係のない情報も含まれている)がDeepMindに提供されていた事実がNew Scientistの調査記事によって明らかにされたことで、英情報コミッショナーオフィス(ICO)は両者の間の提携についての調査を開始した。また、この提携は「Google DeepMind and healthcare in an age of algorithms」(Google DeepMindと、アルゴリズムの時代におけるヘルスケア分野)と題された最近の学術論文でも批判されている。同論文には「コラボレーションは明確さとオープンさを欠いていた」と記されるとともに、「DeepMindとRoyal Freeが過去の、そして現在の患者に対して、患者データに関する計画を当初から、そしてその進展とともに電子メールや書簡などで告知していたのであれば、その後の混乱はもっと少なかったはずだ」と続けられている。

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