レノボが新たなエンタープライズ事業戦略を打ち出した。注目されるのは、競合大手のDell EMCとHewlett Packard Enterprise(HPE)に立ち向かっていくことができるか。同事業のキーパーソンの本音を聞いた。
レノボが打ち出した新たなエンタープライズ事業戦略
取材に応じたレノボ・エンタープライズ・ソリューションズ データセンターソリューション事業本部ソリューション営業本部長の橘一徳氏(右)と同事業本部製品本部長の工藤磨氏
「Dell EMC、HPE、さらに日本では富士通やNECも含めた競合相手に対して、これまでのようにハードウェア製品だけで勝負していくのは難しい。今後は成長市場に向けて、実績のあるパートナー企業のソフトウェアを組み合わせたアプライアンス製品を提供していくことで差別化を図り、ビジネスを伸ばしていきたい」
こう語るのは、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ データセンターソリューション事業本部ソリューション営業本部長の橘一徳氏だ。実質的にレノボの日本でのエンタープライズ事業を担っているキーパーソンである。今回の取材では、同じくキーパーソンである製品本部長の工藤磨(おさむ)氏にも同席してもらった。
レノボは4月にスタートした新年度(2017年度)に向け、新たなエンタープライズ事業戦略を打ち出した。まず図1に示すように、現在のIT市場を「レガシーIT」「新IT」「Hyperscale」の3つに分け、同社としては新IT市場を主なターゲットにさまざまソリューションを展開していく方針を定めた。
図1.レノボの新たなエンタープライズ事業戦略(出所:レノボの資料)
具体的なソリューションとしては、図2に示すように、5つの領域でレノボならではの統合システム製品をラインアップする。中でもSDS(Software Defined Storage)領域に記されている「Microsoft AzureStack」および「VMware VCF」を採用した統合システム製品は、「ThinkAgile」と呼ぶ新ブランドで今夏に投入する予定で、「今後の目玉商品になる」(工藤氏)と大きな期待を寄せているようだ。
こうした新たな戦略の推進に向け、レノボでは4月からグローバルでエンタープライズ事業組織を一段と独立させ、実質的なカンパニー制によって事業責任を明確にする体制に変更した。それに伴い、日本ではこれまでレノボ・ジャパンにあったエンタープライズ事業組織を、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズに集約した形となった。
図2.新戦略に基づく重点ソリューション(出所:レノボの資料)