同氏が無念そうに説明したとおり、そのためにはUnityを諦める必要があった。それでも同氏は、「CanonicalはUnity開発者のコミュニティを支援するために、できることをすべてやる。苦労はさせない」と述べている。デフォルトデスクトップとして「GNOME」をサポートするというCanonicalの判断については、「わが社は今後独自にインターフェースを作ることはしない。今後は、KDEやMATE、LXDEなどの既存のデスクトップ環境もサポートするが、これらはすべて素晴らしいデスクトップではあるものの、ユーザーにとってもっとも変化が少なくて済むのはGNOMEだ」と説明している。
この方針は、Canonicalが「IPOを軌道に乗せるため」にリソースを投入するつもりであることも意味している。「前進するために、どのような手順を踏むべきかを見いだす必要がある」とShuttleworth氏は言う。これは、同社のもっとも収益性の高い製品に力を入れようとしているということだ。具体的には、「Ubuntuは決してなくならない。Ubuntuはクラウドコンピューティングのデフォルトプラットフォームになっている。Juju、MaaS、OpenStackの勢いを止めることは困難だ。IoT分野についてはさらに頑張る必要がある。同時に、投資家のニーズに合わない部分を切り離す必要があった。差し迫った仕事は、Canoncalのすべての事業を黒字にすることだ」
Shuttleworth氏が非公開企業であるCanonicalのIPOを検討したのは、これが初めてではない。2015年にも検討が行われている。今回が異なるのは、Canonicalに年間8桁ドル規模の赤字を計上していた部門(Unityやその他の関連問題)を整理したことだ。Shuttleworth氏によれば、OpenStack部門は2015年から黒字になっているという。
それでも、「IPOに決まったスケジュールはない」と同氏は言う。Shuttleworth氏はまず、スリム化されたCanonicalのすべての部門を黒字化するつもりだ。その後、「1回目の投資ラウンドに進む」という。Canonicalが上場されるのはその後だ。
IPOまでにかかる時間について、Shuttleworth氏は、「遅いよりは早い方がいい」としか発言していない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。