Gartnerが新たに発表した調査結果によれば、多くの最高経営責任者(CEO)にとって、デジタル変革はすでに現実になっている。調査対象の388人のCEOのうち、47%もの回答者が、役員会からデジタルビジネスを進展させるよう求められていると回答している。しかし、このアプローチは元が取れている。CEOの56%は、デジタル化の進展によって、すでに利益の増加が見られると答えている。
Gartnerリサーチ部門のバイスプレジデント兼GartnerフェローのMark Raskino氏は、プレスリリースの中で「デジタルビジネス戦略の恩恵に対するCEOの理解は改善している」と述べている。「CEOは、デジタルビジネス戦略を具体的に説明できるようになっている。多くのCEOが依然としてEコマースやデジタルマーケティングについて言及しているものの、デジタル変革をデジタル製品やサービスのイノベーション、IoT(モノのインターネット)、デジタルプラットフォームおよびエコシステムなどの、先端的なビジネス上のアイデアと結びつけているCEOも増えている」
変革に対して「デジタルファースト」のアプローチを取っているCEOは20%に上り、これには新しいビジネスプロセスや新しいモバイルアプリを生み出すなどの取り組みが含まれている場合があるという。また22%は、「デジタルを中核に据える」スタンスを取っている。これは、新たなデジタル活用能力によって製品、サービス、ビジネスモデルが変化し、それらを支えるテクノロジがコアコンピタンスになるという、より劇的な形態の変革だという。
2017年の調査では、ビジネスに関する優先事項としてもっとも重視されていたのは「成長」で、CEOの58%(2016年と比べ16%増)がこの項目を挙げている。その一方で、前年比でCEOが重視する優先事項としてもっとも増加したのは、製品の改良とテクノロジだった。
Raskin氏は、「CEOの31%が優先事項として『IT関係』を挙げたが、CEOに対する調査を始めて以来、この数字がこれほど高かったことはなかった」と述べている。また、CEOの29%がテクノロジとデジタル技術の活用能力をアウトソースしようとしているのに対して、その約2倍近い回答者(57%)が、社内で活用能力を育成しようと計画している。
「われわれはこの傾向をITの再内製化と呼んでいる。この取り組みは、情報技術の活用能力が、競争上の優位を得るために再び重要となっていることから、これを企業の中核に取り戻そうとするものだ」と同氏は述べている。「これは、新時代のテクノロジスキルと活用能力を育成する取り組みだ」
今回の調査で、あらゆることのデジタル化が進展しているにも関わらず、CEOの半数近くは、まだデジタル変革の成功を測る指標を持っていないことも明らかになった。成果を定量化しているCEOが、もっとも多く採用している指標は売上高だった。CEOの33%は、デジタル化による売り上げを定義し、定量化していると回答している。