デジタル変革プロジェクトにおいては、顧客エンゲージメントの向上や、ITシステムの近代化を念頭に置いておくことが成功の鍵となる。本記事では、プロジェクトを始めるにあたって考慮しておくべき点を解説する。
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拡大し続けるデジタル市場において、ほとんどの企業は競争力を維持するためにデジタル変革プロジェクトを推進している。しかしDeloitteのマネージングディレクターであり、同社の最高情報責任者(CIO)プログラムの研究責任者でもあるKhalid Kark氏によると、デジタルプロジェクトの定義は企業によってさまざまだという。
その定義は、モバイル機能やソーシャル機能の実現や、要員のコラボレーションの促進、顧客エンゲージメントや顧客エクスペリエンスへの注力、新たな収入源の開拓や推進などさまざまだ。では企業幹部やITリーダーは、成功するプロジェクトをどのようにして選択すればよいのだろうか。
Kark氏は「業務のコンテキストに目を向け、その業務に対して迅速に価値をもたらせるアプローチを築き上げる必要がある」と述べるとともに、「それが何であるかは問わないものの、迅速さが求められる。達成しやすいところから手を付け、信頼を醸成、確立したうえで、変革を推進するためのより革新的、かつより大規模な取り組みに挑んでいくのだ」と述べている。
以下は、デジタル変革プロジェクトの成功の可能性を高めるために考慮しておくべき5つの点だ。
#1:部門の枠を超えたデジタルチームの編成
Gartnerのバイスプレジデント兼ガートナー・フェローであり、CEO and Digital Business LeadersリサーチグループのメンバーでもあるHung LeHong氏によると、デジタル化の実現には、モバイルやソーシャル、クラウドといったチャネルの追加による、デジタル変革の推進に向けた土台作りが必要になるという。
「実際の業務変革というよりも、基盤となる技術の準備という側面が大きい」(LeHong氏)
多くの企業がデジタル化の実現に向けて準備を進めているようだ。米ZDNetの姉妹サイトであるTech Pro Researchの最近の調査によると、企業が2017年に実行を計画しているデジタル施策で最も多かったのは、クラウドへのシステム移行や、オンラインデジタルツールの採用、データアナリティクスの導入、ソーシャルメディアの活用だという。
Genpactのチーフイノベーションオフィサーであり、デジタル変革についての調査を実施したGenpact Research Instituteを率いるGianni Giacomelli氏によると、このプロセスの一環として、部門の枠を超えたデジタルチームを編成する必要があるという。同氏は「デジタルプロジェクトは幹部やIT担当者、業務の最前線にいる従業員やバックオフィスの従業員といったメンバーで構成し、部門間の壁を壊しておく必要がある」と述べている。