#4:IoTの有効活用
LeHong氏によると、企業はIoT技術を製造などのシステム内で有効活用する道に目を向けるべきだという。同氏は「IoTセンサやアナリティクスの採用によって工場はより生産的になり、コストの削減や生産性の向上が図られ、さらには品質の向上がもたらされる可能性もある」と述べるとともに、こういった変革によってビジネスモデルが変わるわけではないが、ビジネスに価値がもたらされると付け加えている。
General Electric(GE)がその一例だ。同社は航空や運輸、製造、ヘルスケア、エネルギー生産といった分野にセンサを導入するとともに、収集したデータの分析ソフトウェアを開発した。同社はこういったソフトウェア事業とサービス事業によって、2016年に前年比20%増となる約60億ドルの売上高を達成している。
LeHong氏は、製造分野におけるIoTの活用により、より大規模なデジタル変革への道も開かれていくと述べている。例えば、製造企業はサービスとしての製品の販売を開始するために、センサから収集したデータを活用できる可能性がある。
Tech Pro Researchの調査によると、現在IoTテクノロジを導入している企業は20%しかない。しかし、2017年に取り組む計画だと回答した企業は30%におよんでいる。
#5:ITビジネスの近代化
Deloitte Consultingの最高技術責任者(CTO)兼マネージングディレクターのBill Briggs氏によると、ITビジネスの近代化はデジタル変革プロジェクトにとって手の届きやすい目標であることがしばしばだという。
例を挙げると、AIGはIT部門に機械知性を導入し、IT関連の問題解決用チケットシステムを自動化した。今では従業員の介入無しに14万件以上のチケットが処理されている。Briggs氏によると、同社はIT部門の従業員をより生産的なプロジェクトに再配備できたという。
デジタル事業を創り上げるには、最終的に業務の最前線に影響を与えるバックオフィスとミドルオフィスの作業方法を見直す必要もある。Briggs氏は、「業務の最前線とバックオフィスに影響をもたらせるデジタルテクノロジをIT部門で証明できるはずだ」と述べている。
Kark氏は、このようなプロジェクトに必要な資金を得るだけのバックエンドの投資収益率(ROI)やビジネスケースを証明するのは難しい可能性もあると述べている。同氏は「デジタルに向けた取り組みを生産的で、価値をもたらす適切なものにするうえで、レガシーシステムや能力、文化、セキュリティ、リスク管理、データ、新興技術に関する莫大な作業をバックエンドで実施しておく必要がある」と述べるとともに、「これを実施しておかなければ、フロントエンドにはある程度(のレベル)しかメリットがもたらされない」と述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。