最近の複数の調査によると、デジタル変革への取り組みはその多くが断片化されており、責任者も明確にされていないという。以下では、デジタル変革に着手する前にしっかりしたロードマップを用意しておくことの重要性について解説する。
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IT分野で働くメリットとして、デジタル関連やコンピューティング関連のテクノロジ情報に強くなり、それらの導入時に一歩先んじられるようになる点が挙げられる。しかしその一方で、新たなテクノロジが俎上(そじょう)にのぼった際、同僚がまだ理解できていない価値を見出してしまうことからくる苦労も抱えてしまうようになる。
このため最高情報責任者(CIO)も、業務に必要不可欠だと判断したテクノロジについて、最高経営責任者(CEO)や、組織内で鍵となる他の利害関係者からいかに支持を取り付けるかという悩みを抱えることになる。
この問題について深く考えるうえで、デジタル変革に目を向けたい。
米TechRepublicがCIOを対象に最近実施した調査では、自社に公式なデジタル変革戦略が存在していないとした回答者が半数以上を占めた。回答者の1人であり、VectorCSPでITサービスのディレクターを務めるDavid Wilson氏は「われわれのビジネスは、変化していく顧客層から寄せられる、絶え間なく変わっていくニーズをサポートしている」と述べるとともに、「われわれは、デジタル変革の機会が出現した際にはそれに積極的に取り組むが、全社的な公式計画に向けた明確な道程というものは持っていない」と述べた。
最初の支持を取り付けるには、公式な計画が必要となるのだろうか?
Wilson氏が述べたような、デジタル変革に向けた断片的なアプローチは、悲惨な結果を約束するものに感じられるが、本当にそうなのだろうか?
デジタル変革によって、CIOが通常採るような対応、例えばテクノロジの試用や採用に向けたソリューションやアプローチを推奨したり、特定の業務分野での配備に向けた段階的な3カ年計画を策定したり、推定ROI(投資対効果)を算出したり、これらすべての予算を策定してCEOをはじめとする幹部に受け入れてもらうためのプレゼンテーションを実施するといったことを、(少なくともすぐには)しなくても済むようになる可能性がある。