基幹システムのクラウド移行、キーワードは「Lift&Shift」(前編) - (page 2)

山田竜司 (編集部) 飯田樹

2017-06-19 07:00

基幹系システムのクラウド移行は何から始めるか

 --手順としては、何から手を付けたら良いのでしょうか。

 まずは、システムの「棚卸し」です。社内にどんなシステムがあるか、棚卸しをしていなかったり、システムのリストを持たない顧客が結構多いのが現状です。

 本来大事なのはシステムなのですが、運用の中で特定のサーバが資源の効率化のために共有されているうちに、システムの概念がぼんやりしてしまうことがあるからです。

 --「棚卸し」をした後のアクションは。

 棚卸しの結果、そのシステムがクラウド移行したほうがいいのかを「判断」することになります。われわれも「全部AWSに乗せれば解決する」とは言いません。


 他の代替案がない場合にそのままAWSに持って行くことはありますが、システム単位で見た時に、他のSaaSや他のベンダーが提供しているクラウドサービスを利用した方が効率的だというケースも、間違いなく増えているからです。

 --そこで、一部のシステムをAWSに持ってきました。次はどうするのですか。

 その先に、最初にお話したLift&Shiftがあります。AWSの長期利用を検討しているなら、基本的に既存のシステムをAmazonに移す方がプラスです。

 競争力の源泉になっているアプリケーションであれば、投資して作り直すという選択肢もあります。

 しかし、それ以外はAWS上に塩漬けしておいて、後から別のクラウドなどが出てきたらすぐ乗り換えるという、結論の先送りが合理的な判断のケースもあるからです。

 例えば、ロート製薬は2011年くらいにAWSを使い始めたのですが、当時Windows Sever 2003のサポート終了問題を抱えていました。

 しかし、2015年に、Amazonが独自のWindows Sever 2003延長サポートを提供し始めたため、とりあえずAWSに置くという形で結論を先送りをしました。

 「動くようにしておくシステムインフラとして、AWSはとても良い」と評価をいただきました。

 それは、企業システムを考える上で大事なポイントだと思います。

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