アップルが開催した「WWDC 2017」のオープニングセッションでは、企業が検討すべき多くの重要テーマが話題になった。人工知能(AI)が重要なテーマとして扱われたほか、企業が拡張現実(AR)に関する取り組みをステップアップするための環境整備についても言及された。また、開発者向けにも、多くの重要なソフトウェア開発キットが発表された。
この記事では、ITプロフェッショナルが注目すべきポイントを振り返る。
Appleも、AIと機械学習の分野に本格的に参入した。Jackdaw Researchの分析によれば、大手IT企業(Microsoft、Facebook、Google)は、2017年に行った基調講演で、AIに多くの時間を割いている。Appleも今回、それらの企業の例に倣った。
登壇した役員は、何度も機械学習に言及し、「Siri」に(「Google Assistant」と同じように)できることが増え、理解できる言葉が増えたことを強調した。Siriのアップグレードは、「iOS」だけでなく「watchOS」でも提供される。今回のAppleの課題は、AIに関する主な取り組みを説明することだった。同社はWWDC 2017で、この分野に本格参入することをはっきりと示したと言える。
新しいハードウェアは、プロフェッショナルからの支持獲得と、開発者に拡張現実(AR)や仮想現実(VR)のための環境を提供することを目指している。Appleは「Mac」の各シリーズを全面的にアップグレードし、グラフィックスの処理能力を強化した。「iMac Pro」は、展示用や企業向けのワークステーションとして支持を得られるかもしれない。
同社がARの分野で戦うには、処理能力の強化が必要だった。またこれで、Appleのアップグレードサイクルに対する企業やコンテンツのプロフェッショナルの信頼はさらに高まるだろう。コンテンツのプロフェッショナルは、従来よりもよいシステムを手に入れられるようになった。
SiriとARの開発ツールは、AIとARを重視する新たな戦略のベースになっている。この領域で目立ったのは「SiriKit」と「ARKit」だ。AppleがSiriをApple製デバイス共通の主要インターフェースにするつもりなら、開発者からの支持を得る必要がある。ARに関しては、ARKitが提供されたことで、この技術に触れる開発者や消費者が増えるはずだ。どちらのソフトウェア開発キットも、今後戦略的に重要な存在になるだろう。
Appleは商取引を重視している。今回の大きなテーマはAIとARだったが、決済についても忘れるわけにはいかない。「Apple Pay」は「iMessage」と統合されたことで、より使いやすくなった。一方、「iOS 11」でアップグレードされる「マップ」アプリは、ショッピングセンターなどの屋内の地図に対応した。AppleがApple Payと屋内マップを連携させることで、販売と決済を結びつけ、収益につなげようとしていることが分かる。
App Storeの改良で、開発会社の利益が増える可能性がある。App Storeに関する説明では、ゲームとアプリが主な話題だったが、開発会社はこれを聞きながら利益について考えていたはずだ。Appleはレビュープロセスの短縮と、顧客エンゲージメントの強化を約束した。実際問題として、今のApp Storeでは多くのアプリを見つけるのは難しい。今回のアップグレードでは、アプリを発見し、トランザクションを行うのが簡単になる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。