海外コメンタリー

ハイテク化するマーケティング--人の能力をうまく融合させるには

Mark Samuels (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2017-06-14 06:30

 マーケティングは驚くほどハイテク化が進んでいる。ビッグデータと顧客関係管理(CRM)は今や、実績あるクリエイティブなマーケティング原則とともに使用するという明確な目的で用いられるようになってきている。

 米ZDNetは、ロンドンで現地時間5月24日に開催された「DataIQ Summit 2017」において、企業幹部らから話を聞いた。その目的は、彼らが顧客に関する洞察を深め、顧客との関係を強化していくうえで、どのように新テクノロジを活用しているのかを見極めるためだ。以下にそのポイントを紹介する。

#1:優れた顧客関係を構築する鍵は品質だという点を忘れないようにする

 L'Oréal UKの上級CRMマネージャーであるNoorin Virani氏によると、カスタマーロイヤルティというものは、デジタル時代において再定義されつつあるという。顧客はオンライン検索により、かつてないほど容易に商品やサービスを見つけ出せるようになっている。Virani氏は、企業はクライアントとのより強固な関係を構築できるよう、アナリティクスによって導き出された洞察を活用しなければならないと述べた。

 同氏は、「データは新たな潤滑油と言えるが、それが言えるのは顧客との関係を強化するために役立てられる場合だけだ」と述べるとともに、「データと顧客を取り違えてはならない。データを入手すれば、自動的に顧客が手に入るわけではない。優れた関係というものは数字ではなく、品質によって生み出されるのだ」と述べた。

 Virani氏は、「ビッグデータという言葉は、すべてのデータの価値が等しいわけではないという事実を正しく伝えていない。データの価値はデータによってさまざまだ。このため、金塊に相当するような、価値の高いものを探し出さなければならない」と付け加えた。

 新たなテクノロジによって、新たな変革に向けた要素がもたらされる。Virani氏は、インタラクティブなデジタル顧客エクスペリエンスが、またたく間に日々のマーケティングや小売りにおける当たり前の要素になるだろうと考えている。L'Oréalはこのようなデジタル分野の進歩を活用しようとしており、例えば3Dプリンタのポテンシャルを調査したり、洞察主導型の新たなデータモデルを試行したりしている。

 同氏は「あらゆる情報源から知識を得ることが大事であり、それらの分析はすべてのチャネルで実施する必要があるとわれわれは考えている」と述べ、「好奇心を忘れることなく、テクノロジのスペシャリストとのやり取りを欠かさないようにしてほしい。データと、データの使用方法によって、ブランドを作り出す、あるいは失墜させる違いが生み出される」と続けた。

#2:イノベーションは人間の創造性の代わりにはならない点を肝に銘じる

 Avivaの元最高マーケティング責任者(CMO)であり、6月にTSB Bankのマーケティングディレクターに就任したPeter Markey氏も、テクノロジの進歩によって業務に革新的な変化が生み出されると主張している。ただ、同氏は他社のCMOに対して、イノベーションがクライアントの要求に合致しているかどうかをチェックするよう推奨している。同氏は、「あなたは顧客ではない」と述べたうえで、「素晴らしいアイデアがあったとしても、顧客が何を考えているのかは知っておく必要がある」と述べた。

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