海外コメンタリー

クラウドでもアマゾンに勝負を挑むウォルマート

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2017-07-07 06:30

 Amazonが「Whole Foods」を買収して実店舗での小売事業に参入した際、多くの人は、消費者の財布を狙うAmazonとWalmartの競争は、ストリートに移ると予想した。両社は今後ドローンや自動運転トラック、レジなし店舗など分野で争うことになるだろうが、それに加え、Amazonの牙城であるクラウド事業でも争いが起きようとしている。

 Amazon Web Services(AWS)は誰でも知っているが、Walmartもこれまでクラウドを無視してきたわけではない。同社は何年も前から「OpenStack」のクラウドに投資している。

 2015年にWalmart Labsのクラウド運用およびエンジニアリング担当シニアディレクターを務めていたAmandeep Singh Juneja氏は、「年間売上高4800億ドル超の実店舗小売事業者であるWalmartが、クラウドインフラに投資すると決めたことを、意外に思う人が多いだろう」が、これは必要に迫られてのことだったと説明していた。

 Walmartはパブリッククラウドサービスには大きく投資しなかったが、同社が抱える27カ国、1万フロア以上の店舗に来る数億人の顧客に、低価格で商品を提供して収益を上げられるサプライチェーンを維持するには、クラウドが必要だった。Juneja氏は、「Walmartは成長を押し上げるため、常に最先端の技術を使用してきた。80年代には衛星を使用したし、今はOpenStackを使用している。同時に、Walmart Global eCommerce事業も、年間30%超の速さで成長している」と述べている。

 Walmartは、ただオープンソースクラウドを使っているだけではない。同社はOpenStackやその他のオープンソースソフトウェアへのコントリビューションを行っている。例えば、Walmart自身が、オープンソースのクラウドおよびアプリケーションライフサイクル管理DevOpsプラットフォームである「OneOps」を開発している。

 Walmartは、テクノロジを改善するためにオープンソース技術を使っているだけではない。今や同社は、Amazonのクラウド事業そのものを直接攻撃している。

 The Wall Street Journalによれば、Walmartは一部の供給業者に対して、Walmartに関わるアプリケーションをAWS以外に移さなければ、取引を停止すると伝えた。ソフトウェアベンダーも、AWSの利用をやめるか、Walmartとの取引を失うかの二者択一を迫られているという。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    ISMSとPマークは何が違うのか--第三者認証取得を目指す企業が最初に理解すべきこと

  2. セキュリティ

    情報セキュリティに対する懸念を解消、「ISMS認証」取得の検討から審査当日までのTo Doリスト

  3. 運用管理

    IT管理者ほど見落としがちな「Chrome」設定--ニーズに沿った更新制御も可能に

  4. セキュリティ

    シャドーITも見逃さない!複雑化する企業資産をさまざまな脅威から守る新たなアプローチ「EASM」とは

  5. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]