Amazonが「Whole Foods」を買収して実店舗での小売事業に参入した際、多くの人は、消費者の財布を狙うAmazonとWalmartの競争は、ストリートに移ると予想した。両社は今後ドローンや自動運転トラック、レジなし店舗など分野で争うことになるだろうが、それに加え、Amazonの牙城であるクラウド事業でも争いが起きようとしている。
Amazon Web Services(AWS)は誰でも知っているが、Walmartもこれまでクラウドを無視してきたわけではない。同社は何年も前から「OpenStack」のクラウドに投資している。
2015年にWalmart Labsのクラウド運用およびエンジニアリング担当シニアディレクターを務めていたAmandeep Singh Juneja氏は、「年間売上高4800億ドル超の実店舗小売事業者であるWalmartが、クラウドインフラに投資すると決めたことを、意外に思う人が多いだろう」が、これは必要に迫られてのことだったと説明していた。
Walmartはパブリッククラウドサービスには大きく投資しなかったが、同社が抱える27カ国、1万フロア以上の店舗に来る数億人の顧客に、低価格で商品を提供して収益を上げられるサプライチェーンを維持するには、クラウドが必要だった。Juneja氏は、「Walmartは成長を押し上げるため、常に最先端の技術を使用してきた。80年代には衛星を使用したし、今はOpenStackを使用している。同時に、Walmart Global eCommerce事業も、年間30%超の速さで成長している」と述べている。
Walmartは、ただオープンソースクラウドを使っているだけではない。同社はOpenStackやその他のオープンソースソフトウェアへのコントリビューションを行っている。例えば、Walmart自身が、オープンソースのクラウドおよびアプリケーションライフサイクル管理DevOpsプラットフォームである「OneOps」を開発している。
Walmartは、テクノロジを改善するためにオープンソース技術を使っているだけではない。今や同社は、Amazonのクラウド事業そのものを直接攻撃している。
The Wall Street Journalによれば、Walmartは一部の供給業者に対して、Walmartに関わるアプリケーションをAWS以外に移さなければ、取引を停止すると伝えた。ソフトウェアベンダーも、AWSの利用をやめるか、Walmartとの取引を失うかの二者択一を迫られているという。