CIOが人事部門と連携すべき理由

CIOとHRテック--採用データを可視化する意味 - (page 3)

多田洋祐(ビズリーチ)

2017-07-24 07:00

労務管理

 労務管理の効率化をサポートするSaaS「SmartHR」は、これまでExcelで実施していた人事・労務管理をクラウドで一括管理できるサービスです。2015年にサービスがスタートし、現在では5000社以上が導入しています。

 全国展開する飲食店では、バックオフィスの生産性を向上させるために導入し、約1700人の給与計算と入社手続きを2人で実施できるようになった事例もあります。

社内コミュニケーションの活性化

 Facebookがこの5月に日本で正式にスタートした社内SNS「Workplace(ワークプレイス)」は、Facebookの通常アカウントを使いながら、社内の情報伝達や意思決定の迅速化を実現できるツールです。

 2017年5月時点で日本の月間アクティブユーザー数が2700万人のため、導入による説明コストを抑えて利用できる点がメリットで、米Starbucksやわれわれも導入しています。

 そのほか、チャットツール「Slack」は、顧客関係管理の「Salesforce」やオンラインストレージの「Google Drive」との連携を実施し、HRテックツールと業務システムのひもづけも進んでいます。

HRテック導入とCIOに求められる役割


 今回紹介したのはあくまでも一例ですが、テクノロジの力で企業内のさまざまなリソースを効率化し、生産性を高めようとする取り組みは早くから存在しました。生産管理、サプライチェーン管理システム(SCM)、会計といった、「モノ」と「カネ」のマネジメントからテクノロジが導入され、大きな生産性の向上を実現しました。

 そして現在、企業の競争力の源泉として、新たなイノベーションを生み出す人材の獲得と活用がこれまで以上に重要になりつつあり、HRの領域も労働集約型だった業務が、データドリブンへと変化しつつあります。

 現在はまだ、情報システム部門と人事部門が連携してHRテックツールを導入するというケースは少ないでしょう。

 しかし、情報システム部門も人事部門と同様に「経営に貢献する」役割が強まると仮定すると、セキュリティやコストメリットなどの観点から、経営層や事業部門に対してHRテックツールを提案、運用する役割が求められるのではないでしょうか。

 次回は採用領域の話に戻り、各社のプロ・リクルーターの取り組み事例や育成について解説する予定です。

多田 洋祐/株式会社ビズリーチ 取締役

 中央大学卒業。エグゼクティブ層に特化した人材紹介会社を立ち上げてトップヘッドハンターとして活躍する。2012年、人事部長として株式会社ビズリーチ入社。現在はキャリア事業のトップとして、「ダイレクト・リクルーティング」の本格的な普及に努める。即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」、20代のためのレコメンド型転職サイト「careertrek」、戦略人事クラウド「HRMOS」などを展開。

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