富士通とイオンフィナンシャルサービスは7月14日、パーソナルデータを活用した情報銀行の実証実験を開始すると発表した。パーソナルデータを収集分析するオリコムなど、合計9社が協力する。個人の特定や識別性の可否は問わないデータを取り扱う。
情報銀行とは、個人とのデータ活用に関する契約などに基づき、パーソナルデータストア(Personal Data Store:PDS)などのシステムを活用して、年齢や居住地、家族構成といった属性情報をはじめ、趣味や嗜好、日々の気分や体調といったパーソナルデータを管理するとともに、個人の指示、またはあらかじめ指定した条件に基づき個人に代わり妥当性を判断の上、データを第三者に提供する事業モデル。PDSは、個人が自らの意志で自らのデータを蓄積、管理する仕組み。
実証実験のイメージ図(出所:富士通)
各社の役割一覧(出所:富士通)
今回の実証では、富士通が情報銀行を運用する側として、企業のパーソナルデータ利用の希望に応じ、提供可能なデータを提供する。同時に、パーソナルデータ提供者に対し、預託されたパーソナルデータの内容や情報量、開示先に応じて、富士通が発行する企業内仮想コイン「FUJITSUコイン」を付与する。FUJITSUコインは実証実験専用のもの。付与されたFUJITSUコインはブロックチェーンの分散台帳で管理され、汐留シティセンター内の一部店舗で利用できるクーポンへの交換などが可能。さらに、パーソナルデータ利用企業は、入手したデータに基づいて、一人ひとりの属性や趣味嗜好、行動パターンに合わせた情報を提供する。
「FUJITSUコイン」利用イメージ画面(出所:富士通)
イオンフィナンシャルサービスは、個人の開示承諾により日々蓄積されるパーソナルデータの分析に基づいた金融商品の提案やキャンペーン案内などの実現可能性を検証する。また、パーソナルデータ利用企業が、パーソナルデータへアクセスする際の運用について、技術面とセキュリティ面で検証する。
富士通は、個人がパーソナルデータを情報銀行に預託する際の機能や、その個人が承諾した開示先企業でのパーソナルデータの追跡性を検証する。また、預託されたパーソナルデータの内容や情報量、情報先企業に応じた仮想コインでの還元など、新たな価値の付与の可能性についても検証する。
今回の実証では、富士通が提供しているPDS「FUJITSU Cloud Service K5 Personium Service」をクラウドサービス基盤として活用する。また、富士通従業員がパーソナルデータ提供者となり、提供するパーソナルデータを実証実験用のウェブサイトを経由して情報銀行のクラウドサービス基盤に登録する。富士通従業員は自身のデータを自らの意思で、データ閲覧や実証協力企業への開示範囲を設定することが可能。
実証期間は、2017年8月中旬から2カ月程度を予定している。