「Windows Subsystem for Linux」、秋リリースの「Fall Creators Update」で正式版に

Liam Tung (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2017-08-01 10:39

 Microsoftは米国時間7月28日、「Windows Subsystem for Linux」(WSL)のベータ段階が終了し、「Windows 10 Fall Creators Update」で正式にサポートされる機能になるとブログで発表した。ただし、WSLはエンドユーザー向けのシナリオを想定したものではないという。

 1年以上前からベータ段階にあったWSLは、9月頃にリリースされる予定のWindows 10 Fall Creators Updateで正式な機能として組み込まれるという。

 MicrosoftのRich Turner氏によると、Windows 10 Fall Creators Updateの最新テストビルド「Build 16251」にはベータ段階を終了したWSLが既に組み込まれているという。このバージョンではいくつかの細かい不具合が修正されているが、より重要なのは、正式機能に昇格したことで、通常のサポートチャネルを通じて問題を報告し、解決を期待できるようになった点だという。

 Turner氏は「これにより、WSLやその『Windows』ツールの問題について、より正式な問題解決プロセスに従って解決したい、あるいは解決する必要がある場合、通常のサポート経路を通じて報告できるようになるという利点が生み出される。また、『Windows 10 Feedback Hub』アプリを用いることで、担当チームに直接フィードバックを送り届けられるようにもなる」と記している

 MicrosoftのWindowsカーネルチームによって生み出されたWSLを利用することで、LinuxのELF64バイナリをWindows上でネイティブなかたちで実行できるようになる。WSLはLinuxカーネルをエミュレートし、「ピコプロセス」と呼ばれるものを使ってLinuxのシステムコールをWindowsのカーネルに振り向けられるようにする。

 同社は最近「Windows Store」で、「Ubuntu」や「openSUSE Leap 42」「SUSE Linux Enterprise Server 12」を含む複数のLinuxディストリビューションをWSL向けに公開した。ユーザーはWSLにより、これらのディストリビューションをその他のWindows開発ツールと共存するようなかたちでインストール、実行できるようになる。

 Turner氏は、WSLが想定している用途はアプリのビルドや管理における、開発者向けの特定シナリオであり、「Apache」や「MongoDB」といった環境上で本番用のワークロードを運用することは想定していないと明言している。

 またWSLは、「対話的なユーザーシナリオ」を目的としたLinuxディストリビューションの実行をサポートしていないという。さらに、Windows環境からLinuxファイルへのアクセスはできないが、これについては今後対応していく計画があるとの考えを示している。

 WSLで想定されている主な用途は次のようなものだ。

  • 開発作業および基本的な管理作業におけるLinuxのコマンドラインツールの実行
  • Windowsファイルシステム上に存在するファイルに対するLinux環境からのアクセスや共有
  • Linux環境からのWindowsプロセスの起動(例:~$ cd /mnt/c/temp/ && echo "Hello" > hello.txt && notepad.exe hello.txt)
  • Windows環境のコマンドラインからのLinuxプロセスの起動(例:C:\> bash -c "fortune | cowsay")
「Windows Subsystem for Linux」、「Fall Creators Update」で正式版に
提供:Microsoft

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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