「銀行のビジネスに相反しても受賞」--MUFG スタートアッププログラムの成果

飯田樹

2017-08-16 07:00

 三菱UFJフィナンシャルグループと三菱東京UFJ銀行が主催する「MUFG Digitalアクセラレータ DEMO DAY」が7月28日、東京都千代田区で行われた。これは、MUFGによるスタートアップアクセラレータプログラム「MUFG Digital アクセラレータ」の第2期プログラム参加企業が、プログラムの集大成として新サービスや事業プランを発表するものである。

 MUFG Digitalアクセラレータは、ICTを活用して、金融に関する革新的な新事業を創造することを目的に、優れた技術やアイデアを持つベンチャー企業を支援するプログラムだ。

 第2期には7社のスタートアップが参加。当日は各社によるプレゼンテーションの後、表彰式が行われた。各社のプログラムでの取り組みと、表彰式の模様を一部お伝えする。

スタートアップ7社の取り組み

 まずは、参加企業7社の概要と本プログラムでの成果を、当日のプレゼンテーション内容を踏まえつつ紹介したい。

Nayuta

 Nayutaは、IoT(Internet of Things)とIoM(Internet of Money)を組み合わせて新しい価値を作り出すことを目的として、2015年3月に設立された。不特定多数の誰もが参加できる「パブリックブロックチェーン」では、中間者なしでセキュアな取り引きを可能にしているが、ビットコインには課題もあり、日常の支払いにはほとんど利用されていない。

 その現状に対し、同社はそれらの課題を解決する「2nd Layer技術」の開発を続けており、IoT応用にも取り組んでいくという。金融に留まらず、さまざまなアプリケーション領域で、共同開発などを通してインフラ技術ビジネスを行う予定とのこと。

ロボット投信

 ロボット投信は、“金融の「読む、書く、話す」を自動化する”をミッションとして、2016年5月に創業。アセットマネジメントの分野にて、音声認識を含むRPA(Robotic Process Automation)ソリューション、資産運用サポート、金融・経済データ提供の3点を主に行なっている。

 今回のプログラムでは、音声認識を含んだテクノロジの活用として、「読む」部分をカブドットコム証券と、「話す」部分を三菱UFJモルガン・スタンレー証券と取り組んだ。カブドットコム証券とは、投信の信託報酬に関わるシミュレーション、三菱UFJモルガン・スタンレー証券とは、携帯電話のショートメールを使った投資家へのアラートサービスを試みた。

シマント

 シマントがこのプログラムで取り組んだのは、企業の在庫を対象とした「ストラクチャードファイナンス(仕組み金融)」市場の立ち上げである。これまでのストラクチャードファイナンスは、固定資産や売掛債権を対象にしてきたが、「在庫」は対象とされてこなかった。

 同社は、在庫を扱うことが不可能だった理由がデータ処理量の多さなどにあるとし、同社のデータベース技術を、ストラクチャードファイナンスから買い取ったアセットマネジメントを担当する金融機関に提供することで、在庫資産流動化市場の立ち上げを狙っているという。

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