ディープラーニングを活用したデータ分析サービスにも参入
FlyDataでは、日本に合わせて産業IoT分野に参入することのほかに、日本を含むグローバル市場に合わせた新サービスとして、ディープラーニング(深層学習)を活用してデータを分析するSaaS型アプリケーションの提供を計画している。2018年度以降に提供する予定である。
具体的なサービスは未定だが、これまで人手でしかできなかったことを機械化できるようにする。これに先立ちFlyDataでは、ディープラーニングを中心とした人工知能(AI)の権威として、東京大学松尾研究室の特任准教授である松尾豊氏をアドバイザーに迎えた。松尾氏の協力によって、AI分野における製品サービス開発を促進する。
AI分野のデータ分析アプリケーションに進出することの背景には「従来、データの活用はユーザー任せだった」(藤川氏)という状況がある。FlyDataの従来技術を用いてデータをクラウドにロードするだけでなく、蓄積したビッグデータを活用するためのサービスを提供する形になる。
FlyData Syncで埋もれていた社内データを活用可能に
2017年以降、日本では産業IoT分野の売り上げを大きくする予定だが、既存サービスであるFlyData Syncも継続して販売する。
FlyData Syncは、平均して4〜5個のDBMSからデータを集め、DWHのAmazon RedShiftに統合できるサービスである。統合対象のDBMSとして、現状ではMySQLファミリとPostgreSQLが利用できる。今後数カ月以内に、Microsoft SQL Server、Oracle Database、IBM Db2の3つに対応する予定である。
FlyData Syncのグローバル事例として藤川氏は、EC(電子商取引)のフルフィルメント(商品販売代行)サービスを手掛ける米Symphony Commerceを紹介した。発送や財務処理のデータをAmazon Redshiftに移しており、FlyData Syncが落ちると商品を発送できなくなる。「ビジネスが止まらないように、データが確実に使えることに注力している」(藤川氏)
日本の事例もあるとして藤川氏は、551店舗(2017年5月現在)のリラクゼーション店舗を経営する、りらくを紹介した。同社は、タブレット型POS(販売時点情報管理)システムとBI(ビジネスインテリジェンス)ソフトのTableauを導入したが、当初は期待通りの成果が出なかった。
そこでFlyData Syncを導入してデータをRedshiftに統合したことで、社内にどんなデータがあるかが分かるようになった。店舗ごとの売り上げだけでなく、細かなデータもBIツールで可視化できるようになったとしている。