ビッグデータ時代のものづくりに必須--米FlyDataが産業IoTで日本参入

日川佳三 怒賀新也 (編集部) 2017年09月21日 07時30分

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 データ管理サービスを手掛ける米FlyDataは9月4日、日本市場に向けて産業IoT分野に参入すると発表した。

 年内に、自動車部品の生産ラインに向けたサービスとして、部品の検査データを分析するクラウドサービス「光コムDrive」を、東京工業大学発のベンチャー企業である光コムと共同で提供する。IoT分野での事業拡大に合わせ、日本オフィスも8月29日付けで開設した。

 これまで同社は、SaaS型のデータ統合サービス「FlyData Sync」を主力としてきた。社内で使っているデータベース管理システム(DBMS)のデータを、パブリッククラウド型のDWH(データウェアハウス)であるAmazon Redshiftにロードするサービスである。社内にあるデータを統合して活用できるようにする。


FlyData代表取締役の藤川幸一氏

 FlyData Syncの意義について、FlyData代表取締役の藤川幸一氏は「データ駆動型の経営に必要な機能を提供する」と説明する。「会社には、データを活用する文化も重要だが、データを活用するIT基盤が整っていることが最も重要。正しいデータを確実に利用でき、業務に関わる全員が利用できること。このためのデータ基盤が重要だ」(藤川氏)

 これまで日本でのFlyData Syncの売り上げは少なかった。ユーザーは米国や欧州企業がほとんどであり、売り上げの8割以上は米国が占める。「日本では、FlyData Syncをそのままでは売りづらい。製造業のデータ基盤という着眼点が、日本市場への参入の鍵になると考えた」(藤川氏)

 日本市場に向けた製品サービスとして同社は、産業IoT向けにデータの統合から活用までを支援するサービス「FlyData IIoT Platform」(仮称)を用意した(光コムと協業するサービス名は「光コムDrive」)。検査機器が出力するビッグデータを分析する目的で、FlyDataのミドルウェアを使う。既に光コムDriveの営業活動を開始しており、2017年中に提供する予定である。

 IoT分野に参入することによって、FlyDataの日本での売り上げが増える。これに合わせて、これまで用意していなかった日本法人のオフィスを、東京都台東区に構えた。「新オフィスは10人以上が入居できる。1年以内に日本法人のDlyFataも、10人以上の規模になる」(藤川氏)

 産業IoT分野への参入にあたって米FlyDataでは、未来創生ファンド(スパークス・グループが運営)、アマノ、ニッセイ・キャピタルの3組織から、総額400万ドルの投資を受けている。累計では、これまでに900万ドル超の投資を受けている。

日本市場は、産業IoT分野のデータ活用需要に応える

 光コムDrive(FlyData IIoT Platform)のターゲットは、自動車部品製造業の製造ラインである。部品の精度を検査し、この検査データを蓄積することによって、ラインをまたいで性能を評価できるようになる。どの工程で不良品が出たのかといった情報も可視化できるようになる。

 光コムの検査機器の特徴は、レーザーを用いることによって、光が差し込む場面などにおいても、精度の高い3次元データが得られること。部品表面のキズも分かるという。従来であれば目視でなければできなかった検査が機械でもできるようになることから、生産ラインでの導入が進んでいる。

 産業IoTでは、データの発生場所に近いところでデータを処理するエッジコンピューティングも行われているが、「歩留まりの改善や、ラインを流れる部品の速度の評価といった分析には、しっかりとデータを蓄積し、これを分析することが重要」(藤川氏)である。ここにFlyDataが生きる。

 「IoTの現場では、データをどう確保してハンドリングするかが、おざなりにされている」と藤川氏は指摘する。これまではEDI(電子データ交換)やメッセージキューなどの小さなサイズのデータだけを扱っていればよかったが、現在ではビッグデータを取り扱わなければならない。「技術を持っているハイテク企業もFlyDataのユーザーになっている。FlyDataがデータを保証するからだ」(藤川氏)

 日本の製造業は工場ごとに独自の改善活動を重ねてきたため、欧米の成功例をそのままトップダウンで持ち込むことはできないという障壁がある。一方、光コムの検査機器は、現場の技術者に気に入られており、ボトムアップで導入が進んでいる。光コムの検査機器がすでに工場に入っているので、FlyDataの導入も期待できるという。

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