海外コメンタリー

マイクロソフトの「Ignite 2017」総括--選択肢の広がりが顕著に

Doug Henschen (ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2017-10-03 06:30

 Microsoftは顧客にとっての選択肢を広げようと真剣に取り組んでいる。この点は、米国時間9月25日~29日にフロリダ州オーランドで開催された「Microsoft Ignite 2017」イベント(今回から「Microsoft Envision」イベントが統合された)でも明示され、特にデータベースやデータ統合、機械学習(ML)、人工知能(AI)に関する発表で顕著だった。

 同イベントにおける発表のいくつかは選択肢をめぐるものだと言ってもよいだろう。例を挙げると、ハイブリッドクラウド分野では「Azure Stack」の一般提供開始がある。これにより顧客は、「Microsoft Azure」クラウドの一部をオンプレミスの、自らが選択したハードウェアパートナーのラック上に配置できるようになる。ただ、これはインフラの話だ。筆者が注目したのは、Microsoftが「インテリジェンスのシステム」を構築すると述べた点だった。以下では、データベースや、データベースの移行、データの統合、ML、AIに焦点を絞ることにしたい。


Linuxや「Docker」に対応した「Microsoft SQL Server 2017」

 Microsoftは同社の主要データベースの最新版である「Microsoft SQL Server 2017」を10月2日から一般提供すると発表した。このバージョンは「Windows」上のみならず、Linux上でも動作するという点で大きく進歩している(また同社は、サブスクリプション契約での料金割引や、「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)版の提供などで新規顧客を引きつけようとしている)。

 また、クラウド環境とオンプレミス環境の間のポータビリティを強化する、配備に向けた新たな選択肢が「Docker Enterprise Edition」(Docker EE)コンテナで実現される。ポータビリティ以外の面でもSQL Server 2017では、適応型のクエリ処理や、分析処理を高速化するためのクラスタ化されたカラムストアの追加機能、RやPythonを用いたデータベース内での完結したモデル実行のサポートといった強化が実現される。

分析

 クラウド分野ではLinuxがOSとして多用されており、「Microsoft SQL Server」はWindows上でしか動作しないという点が成長への足かせとなっていた。マルチプラットフォームへの対応と、ハイブリッドな選択肢の提供は、Dockerにおける選択肢と相まって、SQL Serverの採用を加速させていくはずだ。

「Oracle Database」や「MySQL」の移行を支援する「Azure Database Migration Service」

 現在プライベートプレビュー段階にある「Azure Database Migration Service」は、オンプレミス環境上にあるSQL Serverや「Oracle Database」「MySQL」のインスタンスを「Azure SQL Database」に移行するための支援サービスだ。また、VNETとプライベートIPアドレスをサポートしたPaaSである「Azure SQL Database」の「Managed Instance」機能もプレビュー版として提供されている。

分析

 オンプレミス環境上のSQL ServerをAzure SQL Databaseに移行するうえでの互換性は、いまだ「ほぼ完全互換」というレベルでしかない。完全互換にあと一息だとはいえ、Oracleは「どの環境に配備する場合でもまったく同じDB」というメリットを誇っている。

「Azure Data Factory」

 新たなハイブリッドデータ統合機能を搭載したAzure Data Factoryのパブリックプレビュー版が公開された。このパブリックプレビュー版では、データ統合パイプラインの生成やスケジューリング、オーケストレーションにおいて、「SQL Server Integration Services」(SSIS)パッケージによるクラウドへのリフト&シフトという選択肢がサポートされている。まもなく一般提供が開始される同サービスについてMicrosoftは、SQL Serverのアクティブなライセンス所有者に対して割引料金を適用すると述べている。

分析

 筆者は、機能や管理、運用、全体的なユーザーエクスペリエンスといった面における、Azure Data FactoryとSSISの実用上の違いがあるのならば、それらについてより詳細に知りたいと考えている。

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