課題解決のためのUI/UX

反面教師としてのダークパターン--課題解決のための UI/UX

綾塚祐二 2017年10月26日 07時30分

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 よく考えて設計されていないユーザーインターフェース(UI) は、ユーザーの意図せぬ動作、ミス、勘違いを引き起こしたり、意図通りの操作の実施や情報の読み取りに余計な手間を掛けさせたりする。人間の認知特性や心理的傾向などを考慮し、ユーザーの側に立ってUIをデザインすれば、こうしたBad UIの多くは避けられる。

 逆に、認知特性や心理的傾向などを悪用すれば「わざとユーザーに間違えさせる」「わざとユーザーに特定の操作をしにくくさせる」ことができてしまう。残念ながらそうしたインターフェースは世の中に存在し、そのさまざまなパターンはまとめて「ダークパターン」と呼ばれたりする。

 意図してダークパターンを使っていなくとも、それと同じになっていれば、ユーザー体験 (UX) としては悪意にさらされたのとほとんど変わりはない。たとえ善意のつもりで作っていても同じである。自社サービスやアプリケーションの UI設計が、知識不足によってそんなことになっていたら、意図せず大きな損害を被ることになる。今回はこのダークパターンについて論じる。

ダークパターンとは

 ダークパターンを一言で表現するならば「ユーザーがある意図を持って操作したにも関わらず、意図に反した、ユーザーの望まない (サービス提供側に都合のよい) 状態になり、またそのことに気づきにくいUI」である。ユーザーに選択肢を与えずに強制的に誘導するようなものから、誘導したい選択肢以外のものを気づきにくくしたり、分かりにくくしたり、それを選択することに対し過剰なコストを要求したりするもの、ユーザーがうっかり見落としてくれることを期待しているようなものまで、ダークさのレベルはいろいろある。

 ダークさの度合いは「意図に反した状態」でユーザーがどれだけ「害」を被るかにもよる。この場合の害は、金銭的なコストや時間的なコスト、個人情報の流出、不快感など多岐に渡る。ユーザーが「原因」に気づかなかったとしても、これらの害に対してはもちろん何ら正当化されない。「ユーザーが自分で操作した」ということも何の免責をもたらさない。

 どこまでが「ダーク」で、どこからが「ダークとまではいえない、単なる分かりづらい・使いづらいUI」かという線引きはもちろん容易にはできない。しかし、ダークな要素はできるだけ排除するというのは、良いUXをもたらすための 一つの指針たり得るだろう。

ダークパターンのタイプ

 具体的なダークパターンのタイプはいろいろあるが ("DARK PATTERNS" というサイトの "Types of Dark Pattern" などを参照されたい)、大雑把な分類をしてみると

  • 「勘違いさせる・騙す・混乱させる」
  • 「ミスを誘う」
  • 「(ほぼ)強制的な誘導」
  • 「紛れ込ませる」
  • 「情報が不十分・後出し」

などが主なところであろうか。どんなものかを簡単に説明する。

 勘違いさせる・騙す: ソフトウェアのダウンロードのページに、目的のダウンロードボタンより目立つ形で「ダウンロード」と書かれた、全く関係ないソフトウェアの広告が表示される、というのが最も分かりやすいパターンであろう。「あなたのPCにウィルスが検知されたのでここをクリックして解決せよ」という文言の書かれた広告なども同類である。広告以外でも、不必要なアプリケーションを必要なもののように説明してインストールさせたり、本来不要な個人情報などを必須の入力項目として(あるいはそれを装って)入力させたりするのも、この範疇である。たくさんの選択肢の中に、肯定形のものと否定形のものを混ぜて、混乱・勘違いさせるというものもある。

 ミスを誘う: 普通にメニューを選ぼうとしたり、リンクをクリックしたりしようとした瞬間に広告がスライドインしてきて、そこを意図せず押してしまったり、本来選びたいものが選びづらくてとなりの意図せぬものを押してしまったりしたことはないだろうか。スライドインしてくるようなタイプのものは、メインの画面が表示されてユーザーがそれを認識し、目的のボタンを押そうと動作をし始めたくらいのところを狙って現れることが多い。タイミングがしっかりチューニングされているのだろうと思われるが、まさに人間の特性の悪用と言える。これもユーザーを騙しているに等しいやり方であり、また、ユーザーに「意図通りの操作ができない」というイライラ感を強く持たせてしまう。

 (ほぼ)強制的な誘導: ユーザーの意図する選択肢はいちおう用意されているものの、それを分かりにくく配置したり、それを選択するためにはコストや手間が掛かるようになっていたりと、あからさまに他の (提供側に都合の良い) 選択肢を選ばせようとするパターンである。マイクロソフトの、Windows 7などから Windows 10へのアップデートを促すダイアログが、時期が進むにつれ次第に強引さを増していったのを覚えている方も多いであろう。「無料お試しプラン」が期間終了後何もアクションをしないとそのまま有料プランに切り替わって継続され課金される、というのもこのパターンといえよう。何度も何度も短時間に繰り返し同じような広告ポップアップが現れ、いちいちキャンセルボタンを探して押さないと次へ進めないようなものも、このパターンに近いと言える。

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