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量子コンピューティングは実際、何に役立つのか

Tony Baer (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2017-10-17 06:30

 今回の記事では、普段米ZDNetにビッグデータに関する記事を寄せているGeorge Anadiotis氏に敬意を表して、いつもの路線から離れ、未来の技術について扱ってみたい。量子コンピューティングという言葉に、SFのような印象を持っている読者も多いだろう。

 量子コンピューティングとは、素粒子物理学の力で、従来のコンピュータとはまったく異なる方法でデータを保持し、問題を解く技術のことだ。この技術は従来のバイナリ値を使った計算の世界を完全に覆してしまう。これは量子ビット(キュービットとも呼ばれる)が、0と1だけではなく、複数の状態を同時に表すことができるためだ。量子コンピュータは、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)の分野で扱われている問題の一部を、より効率的に解ける可能性がある。

 ところで、量子コンピュータを動かすには、温度を4ケルビンまで下げる必要があるという話は聞いたことがあるだろうか。4ケルビンは絶対零度よりもたった4度高いだけであり、星間空間よりもはるかに低い温度だ。

 これを聞いて、量子コンピュータは「スタートレック」のワープ速度みたいなものだと片付けてしまうのは簡単だ。しかし、SASの創業者James Goodnight氏が、スタートレックのカーク船長がコンピュータに話しかけるように、「Alexa」に話しかけてSASのアナリティクスを実行してみせたのは、わずか数カ月前の話だ。

 なぜこんな話をしているのかを説明しよう。

 われわれは、この1カ月間に起こった一連の出来事に注意を引かれた。最初の出来事は、IBMが科学論文誌「Nature」に掲載される予定の、量子コンピューティングで複雑な分子行動をモデル化する方法をまとめた論文について、アナリストを集めたカンファレンスコールで説明したことだ。この方法は「Jupyter Notebook」にまとめられて公開されている(技術的なことに関心がある人向けに説明すると、これは水素化ベリリウム分子の最低エネルギー状態を導き出す方法に関する話だ)。

 またSatya Nadella氏が、Microsoftの自社イベントである「Ignite」の基調講演の締めくくりに、同社の研究者を集めたパネルディスカッションを行い、純粋に理論的な物理学に関する議論を行った(その話は、主な聴衆であるビジネスアナリストや開発者たちの右の耳から左の耳に抜けていった可能性が高い)。幸いIBMのカンファレンスコールでは、比較的わかりやすい言葉を使って、量子コンピュータが一般的なビジネスの問題にどう応用できるのか、そして現在の技術はどの段階にあるのかが語られた。

 その説明によれば、量子コンピュータの実現は、ビッグデータアナリティクスの分野で言えば、サンプルだけでなくデータ全体を対象にクエリを実行できるようになるような技術的進歩を引き起こす可能性があるという。グラフコンピューティングの分野であれば、従来ならリレーショナルデータモデルを無限に連結していく必要があるような、多対多の複雑な関係を扱えるようになることに相当するという。

 量子コンピューティングは、複雑すぎて従来のバイナリコンピュータでは解けない、多数の順列組み合わせが関係する最適化問題なら、どんなものでも効果がある。このため、驚くほど身近な、ありふれたビジネス上の問題や業務上の問題にも役に立てることができる。

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