開発競争が過熱--「量子コンピュータ」の国際会議で日本企業は何を語ったか

田中宗 2017年08月24日 07時00分

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 組合せ最適化処理向けの計算技術である「量子アニーリング」に関する世界トップクラスの国際会議「Adiabatic Quantum Computing Conference 2017」(AQC2017)が6月26~29日に開催された。


AQC2017オープニング(東北大学 大関真之氏提供)

 この国際会議は2012年に米国で開催されてから毎年、開催地を欧州と米国で交互に変えながら催されてきたが今回、量子アニーリングの提案者の一人である西森秀稔氏を組織委員長とし、第6回目にして初めて日本で開催された。

 筆者はAQC2017の組織委員として参加し、国内企業との共同研究成果を発表した。GoogleやNASA、MITなど国内外から100件近くの研究成果発表の中から、筆者の感じたAQC2017の様子を紹介する。

量子アニーリングの現在

 量子アニーリングは、1998年に門脇正史氏(当時、東京工業大学大学院生)と西森秀稔氏(東京工業大学)によって提案され、2011年にD-Wave Systemsが世界初の商用量子アニーリングマシンを発表したことにより、世間の注目を集めた計算技術である。

 既存のコンピュータでは困難である組合せ最適化処理を解く技術は、コンピューティクス業界の重要な課題であり、組合せ最適化処理がボトルネック要因になっている情報処理はさまざまな業種に存在する。膨大なデータ処理が必要である”IoTの社会実装”など、産業界では今、量子アニーリングに対する強い期待が持たれている。

 また最近、リクルートコミュニケーションズがD-Wave Systemsとの共同研究を本格化したり、フィックスターズとD-Wave Systemsが協業が開始したという話も出ている

 さらに、科学技術振興機構(JST)による、研究成果展開事業 大学発新産業創出プログラム(START)では、平成29年度第1サイクル審査分の新規プロジェクトの一つとして、東北大学の大関真之氏による「量子アニーリングで加速する最適化技術の実用化」が採択された。このように、実社会のさまざまなシーンで量子アニーリングを活用するための動きがみられる。

 以下では、AQC2017の特色でもあるハードウェア開発や応用事例探索の研究開発について、筆者が携わる研究や筆者が強く印象に残った発表を紹介する。

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