神戸製鋼所の製品データ改ざん問題で、いわゆる“日本品質”が問われている。こうした品質管理にこそ、人工知能(AI)を活用できるのではないか。
日本の製造業への信頼を揺るがす「品質偽装」
神戸製鋼所が数十年も前から、自社で製造する製品の品質検査でデータを改ざんする不正を行っていたことが明らかになった。自社製品の品質が取引先の求める基準を満たしていないのに、検査データを書き換えて「適正」だと偽っていた格好だ。必要な検査を行っていないのに、検査書類に架空の数字を記したケースもあるようだ。
対象となる製品は、当初はアルミや銅製品の一部としていたが、主力の鉄鋼を含む16製品に広がった。出荷先は国内外の約500社に上り、自動車や航空機、新幹線などにも使われているという。また、不正が行われた現場は、国内の4工場のほか中国やタイなど海外拠点にも及ぶことから、グループ全体で組織的に不正が常態化していた可能性が高い。
ただ、製品は出荷先の製造業者で部品などに加工され、その都度検査が行われており、現時点では品質で重大な問題は報告されていないとのことだ。一方で、不正な製品が使われた部品を交換し、費用も請求する動きが出てきているという。
こうした「品質偽装」はこれまで食品分野などで問題になることが多かったが、今回の神鋼の不正は、日本が世界に誇ってきた製造業の品質への信頼を大きく揺るがす出来事となっている。