Li氏 そうですね。しかし、そのことは小売業界でも見かけられます。スマートフォンを考えると分かりやすいはずです。われわれはその種のことをたくさん行っていました。例えば私は当時Foursquareで、物理店舗でのエクスペリエンスをスマートフォンによってデジタル化しようとしていました。同様のことはあちこちで見かけられるはずです。
私は、それがコンシューマー向け電子機器をけん引する大きな力となると考えています。企業はやり取りをスマートフォンやタブレット、ウェアラブル機器へと向かわせるためのデータを必要とするようになるということが明らかになるはずです。
——技術的な側面についてはどうでしょうか?
Buluswar氏 Li氏が今述べた内容を踏まえたうえで、それを保険業界に当てはめると、機械学習によってより粒度の細かい意思決定をリアルタイムで実現するという考え方に関する大きなイノベーションが、今後2~3年のうちに起こると考えています。
データを、従来型の構造化された内部的な項として定義するだけでなく、ある次元から見た内部と外部、そして別の次元から見た構造化と非構造化という4つの象限に分けて考えてみてください。
これらのプラットフォーム上で機械学習アルゴリズムを構築する能力によって、人間が意思決定や判断で行うことが再形成されるとともに、モデルが機械知性に基づいて人間の判断を調和させる、あるいはバランスさせる局面も変わってくるはずです。
人々はしばしば、「いずれか」として考えます。しかし機械知性をさらに言い換えて、データを通じて明らかにされた法則のエクスペリエンスを集積したものだとすれば、これによって意思決定に一貫性ときめの細かさがもたらされるようになります。
これは、判断を下すという人間の役割を完全に取り去るという話ではなく、そうした調和やバランスが今から2年後、あるいは3年後には、これまでの10年余りに比べるとはるかに劇的な変化を遂げているべきであり、実際にそうなるだろうという話です。
私は、この分野全体がリスクの予言者という位置付けから進化し、リアルタイムでの洞察という力を通じることで、起こり得るリスクを軽減できる真のパートナーになるという大きな変化が次に到来すると考えています。
その最も分かりやすい例は、自動車に搭載されたセンサによってリアルタイムで運転者にフィードバックを提供し、危険運転を抑制するとともに、事故を未然に防ごうというものです。私はこれを、保険業界におけるデータ科学の真の力だと考えています。
アクシデントの発生を低減したり、好ましくない出来事を起こさないようにするだけでなく、保険のコストを引き下げ、先進国や発展途上国の双方におけるより多くの潜在顧客に受け入れられるよう保証の範囲を広げられるのです。われわれの生活すべての面においてずっと高度な金銭的保障が得られる社会というものを考えた場合、私は素晴らしいことだと考えています。