“デジタル変革の傘”としての役割担う--SAP Leonardo担当社長のアナンド氏

唐澤正和 2017年11月22日 07時00分

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 SAPジャパンは、企業のデジタル変革を支援するテクノロジ基盤「SAP Leonardo」の日本市場でのビジネス展開を本格化している。10月には新サービス「SAP Leonardo Innovation Services」の国内提供を始め、イノベーション創出への取り組みを加速させている。米SAP Leonardo担当プレジデントのMala Anand氏に製品戦略や今後の展望について聞いた。

 SAP Leonardoは、機械学習やビッグデータ、データ分析、IoT(モノのインターネット)、ブロックチェーンなどの技術を組み合わせて利用するSaaS群。「ビジネスを素早く成長させたい、業務の生産性を向上したい、デジタル化を推進したいといった顧客ニーズに応えるもの」とAnand氏は指摘する。

 「SAP Leonardoには最先端の技術が組み込まれている。“System of Intelligence”(SoI)を実現するためのシステム構築を支援する。ビジネスプロセスや情報システムの変革を進め、従来と考え方の異なる新たなビジネスモデルを創出する」(Anand氏)

Mala Anand氏
SAP Leonardo担当プレジデントのMala Anand氏

SAP Leonardoは“デジタルイノベーションの傘”

 SAP Leonardoには3つの構成要素があるとAnand氏は説明する。(1)“デジタルイノベーションの傘”としての役割、(2)デザインシンキングのアプローチ、(3)業界向けパッケージの「Industry Accelerator」――である。

 “デジタルイノベーションの傘”とは、機械学習、ビッグデータ、データ分析、IoTなどの技術を組み合わせ、それらが互いに連携して動作するということを意味する。これにより、デジタル変革を実行するための傘のような役割を担い、顧客からのあらゆるニーズに対応できるのだという。

 デザインシンキングについては、「システム開発ありきではなく、最終的に目指すゴールを先に設計して、それにフォーカスして開発を進めていく考え方だ。例えば、SAP Leonardoではアイデアの段階で速やかにプロトタイプモデルを作り、テストを繰り返す。そして完成したら大規模に展開する。こうしたデザインシンキングのサイクルを6~8週間という短期間で回していく」(Anand氏)と、ビジネスの俊敏性を大幅に高めることができると強調する。

 デジタルシンキングの一例として、自動車空調システムとモジュールの製造会社である韓国Hanon Systemsの事例を挙げた。同社では、デザインシンキングを取り入れることで、より効果的な故障予測や予防保全の仕組み作りが可能になったという。

 デザインシンキングのアプローチは、SAP自身でも実践しており、社内で培ったナレッジやノウハウをパートナーに提供する取り組みを進めている。

 「現在、デジタルシンキングの能力を備えたコンサルタントは150~200人に達している。このメンバーが中心となって社内全体に啓発するとともに、パートナー向けのトレーニングメニューも用意し、デザインシンキングによるソリューション提案ができるよう支援している」(Anand氏)

 Industry Acceleratorは、流通業、消費財、ハイテク、小売、製造業など、業種ごとに最適化した機能を統合したパッケージ。例えば、小売向けパッケージでは、各店舗から収集されるビッグデータを機械学習やIoTの機能を使って分析し、そのデータから価値ある示唆を導き出すという。

 Anand氏によると、パッケージの完成度は70~75%程度にとどめており、残りの20%強を顧客とパートナーで必要に応じてカスタマイズできるようにしている。現在は8つの業務に対応しており、四半期ごとに新たな業務向けのパッケージを拡充していく予定としている。

SAP Leonardo自体もイノベーションを続ける

 SAP Leonardo Innovation Servicesの米国での反響については、「新たなエンゲージメントの創出やデザインシンキングの実践が容易にできるとして、多くの顧客から高い評価を得ている。既に数社が実際にサービスを活用しており、近いうちに導入事例として発表できるだろう」(Anand氏)としている。

 SAP Leonardoの今後の展望について聞いた。「現地点での最先端技術が統合されているが、これが完成形ではない。今後も革新的な技術を速やかに取り入れ、SAP Leonardo自体もイノベーションを続けていく。対話型AI(人工知能)などの技術も検討している。また、パートナーとの連携を強化していくことも重要なミッションだ。幅広い業種向けにIndustry Acceleratorを展開していくためにも、パートナーエコシステムをさらに充実させていきたい」(同)

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