Hannan氏は、クラウドへの移行はサービスのセキュリティと耐久性を向上させるとともに、新たな業務機会を迅速に生かせるようにするためにSaaSを活用するためのものだと述べている。
モデル化と予測に基づき、同社は3年間にわたって、OSの刷新や、ハードウェアやストレージのアップグレードといった設備投資を回避することで、クラウド移行プログラムのほぼ全額を捻出できるようになったのだという。
Hannan氏は「クラウドベースのサービスを採用することで、新たなリスクが生み出されるのは間違いないが、その一方で他のリスクが回避できるという側面もある」と述べている。とはいえ、注意すべき点は他にもあると同氏は警告している。
「買掛金といったものが突如として経営上の重要な要素となる。利用したサービスに応じて対価を支払うというユーティリティコンピューティングモデルに移行した場合、支払いを怠ればサービスは打ち切られてしまう」(Hannan氏)
こういったリスクを低減するために、同社は買掛金を社内で直接管理できるようにしてきている。
このようなプロジェクトは、もはや単なるIT以上のものとなっているとHannan氏は述べている。
「クラウドの導入を決定し、ITの仕組みだけでなく、法的な買掛金の資金調達方法や、企業の操業方法を変えようとした場合、企業に対してITの調達者という役割を要求していることになる。これにはCEOのサポートが必須であり、そのためにはやろうとしていることが企業戦略にとって役立つという証拠を示さなければならない」(Hannan氏)
組織は自らが行っている作業を厳しい目で見つめ直し、その重要性を熟慮しなければならないと同氏は述べている。
「多くの人々が『われわれは、そうしたレベルの変革を実行する能力を持ち合わせていない。IT部門は本当に忙しく、他の多くの作業を担当している』と主張する。そのような人たちに対して私は、『あなた方が担当している他の多くの作業はすべて本当に重要なものなのか?』という疑問を投げかけている。そうでないのであれば、率直に言って、そういった作業をやめるべきだ」(Hannan氏)
「IT部門が注力する戦術上の目標はたくさんあり、企業がテクノロジを活用する方法を実際に変革し始めるための能力を低下させるような戦術上の変革もたくさんある。このため、冷徹な目での評価が必要となる」(Hannan氏)

「あなた方が担当している他の多くの作業はすべて本当に重要なものなのか?--そうでないのであれば、率直に言って、そういった作業をやめるべきだ」(Hannan氏)
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この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。