Gardener氏によると、同社は以前に自社システムの近代化を試みたものの、15年という年月を経たインフラ上で、しかも旧式の開発手法を用いて作業を進めるというのは「うまくいくはずもなかった」という。
その代わりに同社は、より迅速な動きを実現するために、クラウドインフラに投資するとともに、自社プロセスを刷新することにした。
「ブラックフライデーといった大きな販売促進イベントにおいて、必要に応じたスケールアップやスケールダウンが可能になるとともに、レジリエンスも向上する。われわれはもはやデータセンターを抱えておらず、データセンターの電力や空調管理に対して注いでいた時間や労力はすべて不要になり、チームは問題の解決に専念できるようになっている。新たなものごとをさほどコストをかけずに試し、うまくいかなければ捨て去れるようになっているため、かつてないほど迅速に試行錯誤を行えるようにもなっている」(Gardener氏)
より少ないコストでより多くのことを実行する
Starling Bankの最高経営責任者(CEO)Anne Boden氏は、過去にCIOや最高執行責任者(COO)として大企業のシステムを運用する役割を担ったこともあるが、新興企業の環境に移った際に、クラウドの到来によってテクノロジの可能性に変革がもたらされていたと気付いたのだという。
同氏は、「私はすべてを理解していると考えていた。私は莫大な予算を使ってあらゆるものを実現することに長けていたが、倉庫内の小さなオフィスで数人しかいない人たちがクラウド上で何かを構築していると言われた時に、そのイメージすら湧かなかった」と述べている。
Boden氏は「今までの私のキャリアは、大手銀行において大規模な予算のもとでプロジェクトを推し進めるというものだったが、かつて3万人でやっていたことを今では150人で遂行している」と続けている。
実際に重要なものごとに焦点を当てる
Scotia Gas Networksは2年前に、ITサービスに対する企業戦略の立案や、ITの調達と準備、運用のための新たな手法の確立を含む、まったく新しいテクノロジ戦略が必要だという結論に至った。
同社の最高技術責任者(CTO)Paul Hannan氏は、「ここでの重要な原則は、企業戦略を遂行するために必要なあらゆるものごとに焦点を当てるというものだ。手元のビジネスケースが、今までよりもサーバを安価に稼働させることに着目しているのであれば、それはまったく見当違いだと言える」と述べている。