しかし、このテクノロジに飛びついた場合、リスクを背負う可能性もある。製造企業をはじめとする多くの企業は、既存インフラとレガシーシステムを全体的に見直し、ブロックチェーンの活用によって価値が生み出され、投資収益率の向上に結びつけられるかどうかを判断する必要がある。そうした判断なくしては、ブロックチェーンを用いたソリューションはコストのかかる試みとなるだろう。
特に製造企業は、長いアップグレードサイクルを有していることもしばしばあるため、場合によってはこういった新テクノロジを検討する前に既存のITプロセスを近代化する必要も出てくるだろう。この新テクノロジはまだ揺籃期にあり、業界向けのアプリケーションもまだ開発中の段階なのだ。
Brooks氏は「ブロックチェーンがビジネス分野で主流になりつつあるのは確かだが、まだまだ発生期のテクノロジだと言える」と述べ、「これ自体、配備を成功させるために必要となる知識と経験を獲得するために多くのITチームが同テクノロジを調査するべき段階であるということを表している」と続けている。
同氏は、ブロックチェーンの普及に向けた触媒の1つとして顧客の期待を挙げている。顧客のロイヤリティを維持するうえで役立つ迅速かつ信頼性の高いサービスが期待できる、そして要求されるという場合、製造企業は後れを取らないようにするための、あるいは競合と戦い続けるための新たなテクノロジに対する投資を続ける必要があるのだ。
ブロックチェーンテクノロジは、製造業界のサプライチェーンを根本的に変革することで、中間業者を省き、プロセスを合理化し、全体的なセキュリティを向上させるとともに、データ管理を簡素化する可能性をも秘めている。
Brooks氏は「ブロックチェーンは企業が業務を遂行する方法を再定義する多くの新興テクノロジのうちの1つだ」と述べるとともに、「このテクノロジ自体も、開発や規制、ガバナンス、導入といった点でいまだ発展途上にある」と述べている。
また同氏は、「しかしブロックチェーンのイノベーションとテクノロジ自体がより明確になるにつれ、サプライチェーン(そして、特にサービスサプライチェーン)は、今までになかったような、より本当の意味での透明性と説明責任、効率性というものを理解し始めるようになるはずだ」と述べ、「現状維持を打破するために、計算されたリスクを取ったうえで、ビジネス上の新たな慣習とテクノロジを導入する製造企業が勝利を手にすることになるだろう」と続けている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。