海外コメンタリー

ブロックチェーンは製造業をいかに変えるか - (page 3)

Charlie Osborne (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2017-12-04 06:30

 しかし、このテクノロジに飛びついた場合、リスクを背負う可能性もある。製造企業をはじめとする多くの企業は、既存インフラとレガシーシステムを全体的に見直し、ブロックチェーンの活用によって価値が生み出され、投資収益率の向上に結びつけられるかどうかを判断する必要がある。そうした判断なくしては、ブロックチェーンを用いたソリューションはコストのかかる試みとなるだろう。

 特に製造企業は、長いアップグレードサイクルを有していることもしばしばあるため、場合によってはこういった新テクノロジを検討する前に既存のITプロセスを近代化する必要も出てくるだろう。この新テクノロジはまだ揺籃期にあり、業界向けのアプリケーションもまだ開発中の段階なのだ。

 Brooks氏は「ブロックチェーンがビジネス分野で主流になりつつあるのは確かだが、まだまだ発生期のテクノロジだと言える」と述べ、「これ自体、配備を成功させるために必要となる知識と経験を獲得するために多くのITチームが同テクノロジを調査するべき段階であるということを表している」と続けている。

 同氏は、ブロックチェーンの普及に向けた触媒の1つとして顧客の期待を挙げている。顧客のロイヤリティを維持するうえで役立つ迅速かつ信頼性の高いサービスが期待できる、そして要求されるという場合、製造企業は後れを取らないようにするための、あるいは競合と戦い続けるための新たなテクノロジに対する投資を続ける必要があるのだ。

 ブロックチェーンテクノロジは、製造業界のサプライチェーンを根本的に変革することで、中間業者を省き、プロセスを合理化し、全体的なセキュリティを向上させるとともに、データ管理を簡素化する可能性をも秘めている。

 Brooks氏は「ブロックチェーンは企業が業務を遂行する方法を再定義する多くの新興テクノロジのうちの1つだ」と述べるとともに、「このテクノロジ自体も、開発や規制、ガバナンス、導入といった点でいまだ発展途上にある」と述べている。

 また同氏は、「しかしブロックチェーンのイノベーションとテクノロジ自体がより明確になるにつれ、サプライチェーン(そして、特にサービスサプライチェーン)は、今までになかったような、より本当の意味での透明性と説明責任、効率性というものを理解し始めるようになるはずだ」と述べ、「現状維持を打破するために、計算されたリスクを取ったうえで、ビジネス上の新たな慣習とテクノロジを導入する製造企業が勝利を手にすることになるだろう」と続けている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    セキュリティ担当者に贈る、従業員のリテラシーが測れる「情報セキュリティ理解度チェックテスト」

  2. セキュリティ

    サイバー攻撃の“大規模感染”、調査でみえた2024年の脅威動向と課題解決策

  3. セキュリティ

    従業員のセキュリティ教育の成功に役立つ「従業員教育ToDoリスト」10ステップ

  4. セキュリティ

    IoTデバイスや重要インフラを標的としたサイバー攻撃が増加、2023年下半期グローバル脅威レポート

  5. セキュリティ

    急増する工場システムへのサイバー攻撃、現場の課題を解消し実効性あるOTセキュリティを実現するには

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]