今週の明言

NTTデータが注力する「地に足の着いたAI」

松岡功

2017-12-01 10:30

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、NTTデータの岩本敏男 代表取締役社長と、IIJの渡井昭久 常務取締役CFOの発言を紹介する。

「RPAによって地に足の着いたAIを提供していきたい」
(NTTデータ 岩本敏男 代表取締役社長)


NTTデータの岩本敏男 代表取締役社長

 NTTデータが先頃開いた2017年度(2018年3月期)第2四半期決算会見で、同社の人工知能(AI)技術の活用に向けた取り組みについて聞いた筆者の質問に対して、岩本氏が答えたのが冒頭の発言である。

 岩本氏は会見で、同社のAIおよびIoT(Internet of Things)の活用に向けた最近のトピックとして、群馬大学と次世代モビリティ社会実装研究に関する産学連携協定を締結し、札幌市中心市街地の公道で自動走行パフォーマンスを実施したことを挙げた。(図参照)

 また、直近のビジネスでは、パソナと協業して、財務経理部門の業務効率化や働き方改革を支援する「WinActor財務経理ソリューション」を2017年7月に提供開始した。このソリューションは、特に自動化ニーズの高い財務経理業務を対象に、NTTグループで開発されたRPA(Robotic Process Automation)ソリューション「WinActor」を活用できる人材の育成および派遣を行うものである。


図:AI・IoT活用に向けた最近のトピック(出典:NTTデータの資料)

 同社では今後も企業における財務経理部門での業務量を軽減し、継続的に課題解決や業務効率化に貢献することで、働き方改革の支援を拡充していくとしている。

 決算会見ながら、こうしたAI分野への言及もあったので、筆者は質疑応答でAI技術の活用に向けた同社の取り組みについて聞いてみた。すると、岩本氏は次のように答えた。

 「AIは今、時代を象徴した言葉になっており、とりわけディープラーニングが最先端技術として注目されているが、まず非常に幅広い適用領域のある技術であることを認識しておく必要がある。その中で、当社としてはビッグデータのさまざまな解析にAIを活用する一方、ルールベースで業務の自動化ニーズなどに対応したRPAの普及にも注力している」

 そのRPAとして同社が展開しているWinActorについては、「既に数百件の導入実績があり、幅広い業種のお客様に活用していただいている。最近では、このRPAをさまざまな業務に適用されているお客様から、それらを統合的に管理したいというご要望もいただくようになり、その対応に取り組んでいる。また、このRPAをはじめとしてAIを活用したソリューションは、国内だけでなくグローバルにも展開できる可能性が高いので、ビジネス戦略としてもそれを踏まえたうえで描いていきたい」と意気込みを語った。

 日本を代表するシステムインテグレータのAI戦略としては、まずRPAによって「地に足の着いた」取り組みに注力するとのこと。「地に足の着いた」という言葉が何とも印象的たっだ。

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