AetnaのCEOであるMark Bertolini氏は、CVSとの合併によって、既に準備が整っているサービスとアナリティクスというアプローチへの扉が開かれると述べ、「合併の結果、クライアントはデータとアナリティクスをより幅広く利用することで、慢性的な症状に対する治療コストの増大という問題に取り組めるようになり、大幅に低いコストで患者の健康状態を改善できるようになる」と続けている。
CVSは以前から、薬剤給付管理の大手であるCaremarkの買収を通じてデータ統合市場に参入している。またCVSは、他のプロバイダーと協力する必要もあったことから、データのサンドボックス作成にも長じるようになっている。このようなデータのサイロ化能力は、CVSがリテール分野において、Aetnaの競合であるUnitedHealthcareといった企業と協力しなければならない際に重要となるだろう。
CVSとAetnaが手を組む結果、データ界の巨人が生み出されるのは間違いない。合併後の企業は、ヘルスケア分野のあらゆる部分におけるデータとアナリティクスを掌中に収めるだろう。CVSは、両社がタッグを組んだ際のタッチポイントを図で示している。
CVSとAetnaがタッグを組んだ際のタッチポイント
そして、このようなタッチポイントでは大量のデータが生み出される。
Aetnaのネットワークについても図で提示されている。
詰まるところ、CVSとAetnaが力を合わせることの成否は、データの扱いと、ケアのパーソナライゼーション、コストの低減、効率の向上をどれだけ上手に実現できるのかにかかっている。両社はデータを活用することで、Amazonをはじめとする数多くの競合企業とCVSとの戦いを有利に進められるようになるだろう。
以下はCVSとAetnaがアナリティクスの楽園に向けて歩んでいくうえでの不確定要素だ。
最も優れたアナリティクスのアーキテクチャとは何か?アナリティクスチーム、そして人工知能(AI)やデータ科学、機械学習(ML)といったテクノロジへのアプローチには、連合形態や一極集中形態、部門形態が考えられる。ただ、CVSとAetnaが合併企業としてうまく機能する形態を見つけ出せるかどうかは未知数だ。
データの品質はどの程度か?CVSとAetnaのいずれもが自らの強みを生かせるデータを手にしていることは間違いない。AetnaはアナリティクスとML、AIを活用し、不正行為の削減によって実質的な利益を上げてきている。CVSはメール/SMSやアプリといったデジタルな取り組みによって顧客のエンゲージメントを高めてきている。それでも、データを統合するうえで数々の障壁に直面する可能性がある。