米ZDNet編集長Larryの独り言

ドラッグストアCVSの保険大手買収、アナリティクスやデジタル変革の行方は

Larry Dignan (ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2017-12-15 06:30

 ドラッグストアチェーンのCVS Healthが、医療保険会社のAetnaを買収すると発表した。両社は合併することで、サービスと、顧客とのタッチポイントを垂直統合するスタックを構築し、ヘルスケアに新風を吹き込もうとしている。今後は、すべてをうまく機能させるためのデータとアナリティクスの活用という課題に取り組むことになる。

 両社は690億ドルという規模の今回の買収によって、デジタル変革に向けた歩みを共に進め、ヘルスケアとアナリティクスを手がける巨大企業になり、業績を向上させられるだろうか?両社はもちろん可能だと考えている。

 Aetnaの株式を1株あたり207ドルと評価した今回の買収契約は690億ドルという規模だ。CVSは自社の持つ薬局およびドラッグストアの強固な基盤と、薬剤給付管理に、保険を組み合わせられるようになる。また今回の合併によって、パーソナライズドメディスン(個別化医療)やフォローアップのさらなる推進とともに、効率の向上につながる巨大なデータプールが生み出される。

 計画の概略は、CVSの物理的およびデジタルな基盤を用いて、ヘルスケア分野におけるサービスの最後のピースを埋めるというものだ。Aetnaは保険金支払いと、ヘルスケアプロフェッショナルのネットワークに向かう直接のルートだと言える。

 CVSの最高経営責任者(CEO)Larry Merlo氏は、データとアナリティクスのさらなる活用が可能になるという点が合併の重要なメリットの1つだと指摘している。Aetnaは何年も前から本格的なアナリティクスアーキテクチャを有しており、不正行為の削減に注力してきている。CVSは同社のMinuteClinicと薬剤給付データを活用するとともに、小売店舗におけるタッチポイントと組み合わせている。CVSとAetnaは、サービスをさらに充実させるとともにパーソナライゼーションを推進することで、慢性症状の管理と、ケアのコーディネートをより上手にこなし、再入院を減らしていけると考えている。

 Merlo氏は合併で期待している効果について以下のように語っている。

 ヘルスケア分野における意思決定をコンシューマー自身が下すようになるという流れが続いている。この流れには、ヘルスケア分野のコンシューマーにより多くの権限を持たせるという意図があるものの、詳細な情報を得たうえでの意思決定を可能にするツールが提供されていない場合もしばしばだ。このため、われわれは顧客との対面でのやり取りが多い点を生かし、ヘルスケア分野のコンシューマーにとっての窓口となる。また、物理的なタッチポイントとデジタルなタッチポイントに対して、データ機能およびアナリティクス機能のより広範な利用を組み合わせることで、コンシューマーエンゲージメントを向上させ、ヘルスケアに関する意思決定を伝えるとともに、患者が複雑なヘルスケアシステムをうまく利用できるよう支援する。

 さらに、ヘルスケアのマーケットプレースがより価値ベースのシステムへと変わってきており、保険料がケア提供における効率度合いに基づくようになっているという状況がある。われわれは両社の資産を統合することにより、ヘルスケアをより低コストで提供する施設の奨励、不要な費用の削減、われわれの臨床診療プログラムの拡大を推し進め、価値ベースによるケアモデルのさらなる浸透という面でのリーダーとなる。また自社資産全体にわたるデータ統合と、予測アナリティクスの活用によって、患者とのやり取りをターゲット化し、健康な行動や服薬アドヒアランスを促進する。これによって、患者ケアの質をさらに向上させるとともに、より健全な結果をもたらせるようになる。

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