前回の道場では、ROCKな最高デジタル責任者(CDO)、その役割について理解してもらえたかと思います。さて、今回は視点を変えて。まずは質問です。 「サイバーセキュリティーというと誰の名前が浮かびますか?」
クロエ・オブライエン
国内テロ攻撃の標的保護を担う政府機関として、CIAに設立されたCTU(Counter Terrorist Unit)の上級分析官。米国を脅やかす数々のサイバー攻撃を退治し国を救いました。彼女の息子の名前はPrescott。Prescottは第3世代Pentium4のコードネーム。
ペネロープ・ガルシア
元伝説のハッカーであり、FBIのBAU(Behavioral Analysis Unit、行動分析課)のテクニカルアナリスト。BAUは、組織としてCriminal、Cyber、Response、and Services Branch(刑事・サイバー・対応及び執行部)の下に位置し、異常犯罪者たちをプロファイリング、犯罪心理を深く読み解く専門部隊。ペネロープは、元ハッカーのスキルを生かし、事件解決のカギとなる情報をリアルタイムに収拾し、分析、数々の難事件の解決に貢献しています。
そろそろお気付きでしょう。そう、CTUもBAUも架空のユニット。クロエは、『24 -TWENTY FOUR』。ペネロープは、『クリミナル・マインド』。FBI行動分析課と米国の歴史に残る人気ドラマの人気キャラクターです。米国の人気ドラマではサイバーセキュリティーの問題が多く扱われています。しかもセキュリティーエンジニアは、ヒーロー的な存在として描かれています。
サイバーレジリエンス
最新のサイバーセキュリティーのキーワードは、サイバーレジリエンス。レジリエンス(resilience)は、困難に負けないという意味。心理学では、ストレスや逆境に直面したとき、それに対応し、克服していく能力を意味しているそうです。
Nicolas Cage(ニコラス・ケイジ)主演の映画『World Trade Center』も同様に、911の同時多発テロをテーマに、逆境に立ち向かう米国人の力強い姿が表現されていました。レジリエンスはヒーローそのものです。つまり、サイバーレジリエンスは、サイバーセキュリティーの新しいヒーロー像の登場を意味するのです。
サイバーセキュリティーに何が起こったのか
本格的なデジタルの時代になり、バーチャルとリアルの世界が融合した新しいビジネスが、次々と創出されるようになりました。ビッグデータの世界は、量だけではなくIoTの発達も手助けとなり、人間のさらに深い情報に広がりを見せています。同時にサイバー攻撃の高度化・巧妙化は歯止めの効かない状況です。サイバーセキュリティーの考え方を根本から変えないと、脅威からビジネスを守ることができなくなり、デジタルの世界にサイバーヒーローが必要になったのです。