理由は「HANAの先進性」と「Oracleとの関係変化」
そして、SAPとHPEの関係について、「27年以上にわたる緊密なリレーションシップ」「グローバルで1万2000台以上のHANAシステムの導入実績(2017年6月現在、HPE公表値)」、「HPE自身が大規模SAPユーザーであり、SAP S/4HANA移行プロジェクトを推進中」といった点を挙げた。
とりわけ、HANAシステムの導入実績については、前出の1万2000台以上が全体の約50%に相当することから、HANAにとってはHPEサーバとの組み合わせが中心になっている状況を浮き彫りにした。
HPEの発表会見でSAPジャパンのHANA事業責任者が、上記の内容をおよそ12分にわたって説明したことからも、HPEがSAPとの協業に注力しているのは明らかだ。HPEはなぜ、SAPとの協業に注力するのか。その理由としては次の2つが考えられる。
まず1つは、HANAの先進性である。昨今、企業においては従来のシステムの刷新とともに、新たなデジタル化への対応が迫られている。HANAはそうした両方の動きに適用できるテクノロジとして浸透しつつある。
そして、もう1つが、HPEとOracleの関係である。かねてHPEの高性能サーバとOracle Databaseの組み合わせは、多くの企業のシステム基盤に利用されてきたが、Oracleがハードウェア事業を手掛け、HPEと競合するようになったことで、両社の関係は少しずつ変わってきたように見て取れる。
会見の質疑応答でこうした点を聞いてみたところ、本田氏は次のように答えた。
「今回の新製品はHANAとの組み合わせを前面に押し出しているが、HPEが持つさまざまな種類の高性能サーバでは、従来からOracle Databaseを利用されているお客さまも数多いので、当社としてはそうしたお客さまのアプリケーション資産をしっかりと保護することを基本としている」
本田氏の立場としては当然のコメントだが、2014年から始まったHPEとSAPのHANAによる協業は、より深まってきているようだ。今回の会見はまさしくその動きを象徴するものだった。