ブロックチェーンは、複数の業界で注目を集め続けている。そして2018年には、さまざまな組織が本格的なブロックチェーンイニシアティブを推進し始める年となる可能性がある。これには石油・ガス関連の企業が含まれており、これら企業はこの新興技術に向いていると言える。
いかにブロックチェーンの重要性が高まっているかについては、この技術やビットコイン関連の技能を有するプロフェッショナルに対する需要が2017年第3四半期に急増したことにも現れている。このデータは、フリーランスのプロフェッショナルと潜在的な雇用者を結びつけるウェブサイトを運営しているUpworkによるものだ。同社のプラットフォーム上では、同四半期に最も成長したスキルの第2位と第3位に、それぞれブロックチェーンとビットコインが挙げられている。
ブロックチェーンは、石油やガスを含むさまざまな業界で活用できる可能性を秘めている。
法律事務所Steptoe & Johnsonに籍を置く弁護士であり、ブロックチェーン技術の動向に詳しいDaniel Nossa氏は「ブロックチェーン技術は石油・ガス業界において、産出プラントからコンシューマーに至るまでのサプライチェーン全体を通じて配備することができる」と述べている。
Nossa氏は、「このテクノロジとIoT(モノのインターネット)を組み合わせることで、炭化水素の採取と輸送の追跡や監視を確実なかたちで実現できるようになる」と述べるとともに、「ブロックチェーンプラットフォーム中に埋め込まれたスマートコントラクトと、台頭してきている人工知能(AI)技術をともに用いることで、生産者から販売者、精製事業者、コンシューマーに至るまでの、物資の販売や物理的な輸送などに関連して発生するトランザクションの多くを自動化できる」と述べている。
同氏によると、この業界におけるブロックチェーン技術は、いまだ揺籃期にあるという。同氏は、「(野球になぞらえると)金融業界はおそらく、ブロックチェーンの開発および配備の1イニング目にあるものの、エネルギー関連業界では観客が球場に入り始めたばかりだ」と述べている。研究開発予算のある一部の大規模なエネルギー関連企業は、専門性の高いユースケースを実験していると同氏は説明する。
ブロックチェーンがこれらの企業に、そして最終的には顧客にもたらし得るメリットにはセキュリティの強化のほかに、透明性や効率、スピードの向上があると同氏は述べている。
しかし、ブロックチェーンについてはリスクもあると考えられ、エネルギー関連企業もそういったリスクに取り組む必要がある。
Nossa氏は「現時点における大きなリスクは初期の採用に関連するものだ」と述べ、「エネルギー関連業界は他の大半の業界と同様に、ブロックチェーン技術の利点と制約について、試行錯誤を通じて多くの物事を学習していくことになるだろう」と続けている。「これは時間のかかるプロセスとなる。エネルギー関連企業が、金融業界の例にならってコンソーシアムを結成すれば、ブロックチェーンの取り組みから学ぶことやコストについて共有することができ、このテクノロジの開発や導入を促すことにつながる」
提供:Oliver Paaske/Unsplash
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。