Googleが、極めて低価格なクラウドコンピューティングサービスを提供する新たな選択肢を発表した。ただ顧客は、いくつかの制約に従う必要がある。
「Google Cloud」は2015年5月に「プリエンプティブ仮想マシン(VM)」のベータ版提供を開始した。このVMが提供するコンピュートインスタンスの有効期間は短く設定されているが、安価にクラウドを利用できるという点で、バッチジョブやフォールトトレラントなワークロードに適したものとなっている。
プリエンプティブVMでは、通常のコンピューティングインスタンスと同じマシンタイプとオプションが提供されるものの、その有効期間は24時間となっている。また、Googleが他の用途でリソースを必要とした場合に、インスタンスがGoogleによる通知から30秒後にシャットダウンされる場合もある。
GoogleはプリエンプティブVMのサービス開始後、ローカルSSDを追加している。そして今回、GPUがアタッチされたプリエンプティブVMのベータ版をリリースした。
ユーザーはこれにより、「NVIDIA K80」と「NVIDIA P100」をそれぞれGPUあたり1時間0.22ドルと0.73ドルでアタッチできるようになった。この価格は、オンデマンドのインスタンスにGPUをアタッチする場合の半額だという。
Googleは、こういったプリエンプティブGPUが大規模な機械学習(ML)や分散型バッチワークロードに特に向いていると述べている。
プリエンプティブルVMにアタッチされたGPUには、プリエンプティブルVMと同じ制約が課せられる。すなわち、コンピュートエンジンは、要求が高まった場合、警告から30秒後にシャットダウンされる可能性があるとともに、その有効期間は24時間となっている。
Googleは「このため、(プリエンプティブGPUは)単一のインスタンスを継続的に必要としない分散型のフォールトトレラントワークロードにとって優れた選択肢となるとともに、われわれにとって大きな割引きが可能となる」と述べている。
また、コンピュートエンジンのマネージドインスタンスグループを使用すれば、ユーザーのプリエンプティブインスタンスがシャットダウンされた後、コンピューティング能力が利用可能であれば、それらを自動的に再生成することができる。さらにプリエンプティブVMは、「Kubernetes Engine」といったコンピュートエンジン上に構築されたクラウド製品に統合されてもいる。
コンピュータを活用した創薬に取り組むSilicon Therapeuticsの最高戦略責任者(CSO)Woody Sherman氏は、「われわれの創薬プログラムにおいて、安価なコンピューティング能力によってより多くの分子構造の評価が可能になり、有望な薬剤候補を見つけられる機会が高まることになる。プリエンプティブGPUインスタンスは、われわれが調査してきたその他の割引きが提供されているクラウド製品に比べて、一貫性のある価格や透明性の高い契約体系といった点で優れている」と述べている。
提供:Getty Images/iStockphoto
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。