本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、米GoogleのDiane Greene Google Cloud統括バイスプレジデントと、米SymantecのNick Savvides サイバーセキュリティ戦略マネージャーの発言を紹介する。
「クラウドはこれからあらゆる産業の未来を新しく創っていく」
(米Google Diane Greene Google Cloud統括バイスプレジデント)
米GoogleのDiane Greene Google Cloud統括バイスプレジデント
グーグルが先頃、プライベートイベント「Google Cloud Next'17 in Tokyo」を都内のホテルで開催した。このイベントで基調講演を行ったGoogleのクラウド事業トップであるDiane Greene(ダイアン・グリーン)氏の冒頭の発言は、基調講演後に開かれた記者会見で、クラウドのポテンシャルについて語ったものである。
IT業界で企業向けビジネスに25年以上携わってきたGreene氏は、米VMwareの共同創業者として10年間CEOを務めた経歴を持ち、Googleが企業向け事業を強化するために2015年11月に招き入れた人物である。
ちなみに、同氏が統括する「Google Cloud」は、Googleが展開する企業向けクラウド事業においてインフラからアプリケーションまで全ての関連サービスを統合したブランド名である。その中で、IaaSとしてAmazon Web Services(AWS)やMicrosoftと競合しているのが「Google Cloud Platform(GCP)」である。
そのGCPについて、同氏は基調講演で、グローバルでは10億人以上のエンドユーザーが利用していることや、昨年11月に東京リージョンを開設して有料の顧客企業数が前年比70%増加したことなどを挙げ、好調ぶりをアピールした。
ここでは、基調講演および記者会見において、筆者が印象に残った同氏の話を2つ紹介しておこう。まず1つは、GCPのスケーラビリティについて一大ブームになった「Pokemon Go」を事例に挙げ、次のように話した。
「Pokemon Goでは想定していた50倍ものアクセス数に達したが、GCPはその負荷にも対応することができた。Pokemon GoがGCPの卓越したスケーラビリティを改めて証明してくれた」
Pokemon GoがGoogle Cloud Platformの卓越したスケーラビリティを証明した
そしてもう1つが、冒頭の発言にまつわる次のような話である。
「これまでGoogleのクラウドは、検索をはじめとして一般向けのサービスにリソースを費やしてきた。その結果、クラウドとしてはどこよりも強力で安全なものになっている。それを、これからは企業向けサービスとしても提供していくことに注力したい。Googleのクラウドに携わる社員は素晴らしい人材ばかりだ。そのパワーで、クラウドを用いてこれからあらゆる産業の未来を新しく創っていく仕事をしていきたい。それこそエキサイティングな仕事だと考えている」
Googleのパワーへの確固たる自信を示してみせたGreene氏。同社のステークホルダー全てに対してメッセージを発信しているように見て取れた。