IDC Japanは1月10日、ネットワーク仮想化に関する国内企業ユーザー動向調査の結果を発表した。これによると、企業がSDN(ソフトウェア定義ネットワーク)を導入する目的としてセキュリティ対策が浮上していることが明らかになった。
同調査は、国内企業874社を対象にSDNやNFV(ネットワーク機能仮想化)に代表されるネットワーク仮想化技術やサービスの利用動向と課題、SDNベンダー/ブランドの認知度を調査したもの。
SDNを導入したまたは導入予定のある回答者の内、約17%がマルウェアや分散型サービス妨害(DDoS)攻撃などのセキュリティ対策にSDN技術を活用すると回答。これは物理ネットワークの統合に続いて2番目に多い導入目的になっている。IDCによると、企業のセキュリティ対策への意識が高まる中、ネットワーク経路を制御するSDNの特性が外部/内部脅威対策の有効な手段として認知されつつあり、SDN活用の最も有望なユースケースの一つである。
SDN技術/アーキテクチャ導入目的(出典:IDC Japan)
また、NFVの導入についても前向きであることが明らかになった。仮想アプライアンスやエンタープライズNFVの導入について「既に導入済み」「導入の予定」「導入の方向で検討中」の回答を合わせた割合は、仮想ルータで約65%、セキュリティでは70%超。回答者の多くが前向きな姿勢を示している。また、エンタープライズNFVに対する企業の期待は、NFVの特性であるオンデマンド性とその効果であるリソースの有効活用、導入/撤収の迅速性であることも明らかになった。
同調査では、SDNベンダー/ブランドの企業ネットワーク管理者における認知度についても調べている。これによると、SDNと聞いて最初に思い浮かぶ「第一想起率(純粋想起率)」が最も高いのはNECで、企業のネットワーク管理者のマインドシェアが高いSDNベンダーであることが分かった。SDNの市場黎明期からいち早く製品を市場投入し、SDN技術を活用することによるネットワークの変革を市場に積極的に訴求してきた成果であると、IDCはみている。その他には、富士通、NTTコミュニケーションズ、シスコシステムズも高い認知度を得ているSDNベンダー/ブランドと言える。今後導入を検討するSDNベンダーと、SDNベンダーとしての認知度の相関は高いということも明らかになっている。