定期的なレポート化がPDCAを加速する
前ページに挙げたような分析ツールで得た各指標のデータは、分かりやすくレポートの形にまとめることをお勧めします。例えば、各KPIの過去数カ月における推移を確認できる形にすることで、ゴール達成に向けた現在の施策の方向性が正しいのか否かを知ることができます。
また、月次レポートという形あるものがあれば、関係者間での情報共有や社内からの協力や理解を得る際にも役立つでしょう。
下図は、月次レポートのサンプルです。左側の表には各KPIの数値を過去6カ月間分載せ、推移を確認できるようにしています。さらに重要なKPIは右側にグラフ化し、その変動を一目で把握できるようになっています。
図5-4:SNSアカウント運用 月次レポート例
KPI数値を分析する際には、以下のような視点を持つことが大切です。
- なぜ、ファン(フォロワー)がこのタイミングで増えているのか
- なぜ、この投稿はいいね!が多い/少ないのか
- なぜ、この投稿はリーチが多い/少ないのか
- なぜ、KPIに届かないのか など
この「なぜ」の答えを考え、見つけ出し、次月以降の投稿の改善に生かしていきましょう。
効果測定には時間・労力をかけ過ぎない
ちなみに、データの分析・集計やレポート作成を全て手作業で行おうとすると、膨大な労力と時間が必要となります。皆さんの貴重な時間と“脳力”は、Step2の「ファンとの関係を深める」ため(例:ユーザーに喜ばれる投稿案を考えるなど)にこそ、大いに使っていただきたいものです。
効果測定を効率よく進めるためには、投稿関連データを簡単に分析・集計できたり、レポート出力できたりするツールの導入を検討いただくことをお勧めします。
数値化しにくいKGIを測るには「アンケート」
ここまでは、KPIを測る効果測定について紹介しました。ここからは、KGI(「認知度向上」「ブランド好意度の向上」「購入意向の向上」など)の効果測定の仕方について説明します。KGIの効果測定もできれば定期的(四半期、半年、1年など)に行い、変化を確認することをお勧めします。
とはいえ、多くのKGIはFacebookインサイトやTwitterアナリティクスで数値を取れないため、効果測定がしにくいといわれています。そこで、お勧めしたいのが「アンケート調査」という方法です。以下に2つの例を紹介します。
・アンケートによるKGI測定方法例(1)
ファンと非ファンそれぞれにアンケートを取る方法です。ファンと非ファン、それぞれの回答結果を集計・分析し比較することで、ファン(フォロワー)になることによる態度変容を測ることができます。
図5-5:数値化しにくいKGIを測る
・アンケートによるKGI測定方法例(2)
ファンだけを対象にアンケート調査を実施するという方法もあります。こちらもファン(フォロワー)になることによる態度変容を測ることができます。
図5-6:数値化しにくいKGIを測る
まとめ
SNSアカウント運用では、Step1「ファンを集める」とStep2「ファンとの関係を深める」を日々回しつつ、月1回程度はStep3「効果を測る」ことでKGI・KPIの進捗を確認し、次月の投稿に生かしましょう。
次回はSNS広告について紹介します。お楽しみに。
- 後藤真理恵
- 東京大学 文学部卒。中学高校教諭第一免許状(国語)取得。日本オラクルにて、技術者向け研修の開発~実施、講師育成、技術者向け資格試験の問題開発などを担当。その後はマーケティング、パートナービジネス部門などを歴任。2013年にコムニコに入社し、数多くの企業のSNSマーケティングを支援中。2016年11月、SNSエキスパート協会代表理事に就任し、SNSマーケティングの正しい知識を持つ人材育成にも努めている。