#2:創造的な実験によって価値を見出す
独立系のCIOアドバイザーであるMatt Ballantine氏は、人々がどのような場所からでもスマートデバイスを使ってコミュニケーションやコラボレーションを行うようになる一方で、企業のファイアウォールに起因する問題が依然として残っていると考えている。同氏は、「未来は既に実現されていると言えるが、オフィスに入ると状況は一変する」と述べ、「その時点で、スマートデバイスやコネクテッドデバイスはすべて役に立たなくなる」と続けた。
Ballantine氏によると、ITの世界では10年前からBYOD(Bring Your Own Device)が話題になっており、問題の大部分はそこに横たわっているという。また同氏は、作業が分割、サンドボックス化されたことで、有益なものを受け付けず、それらと統合できなくなっていると付け加えた。同氏によると「BYODは有益なものを手当たり次第に無益なものにする技術となった」という。
統制を中央に集中したいという、BYODを骨抜きにした願望は、デジタル技術の進歩による職場環境の向上という試みをも脱線させるかもしれない。同氏によると、スマートな作業によるメリットを享受しようとする企業は、定量化が難しい、例えば生産性のような領域に着目する必要があるという。
同氏は「手始めとして、単なるコスト効率を求めるのではなく、価値を向上させるという文脈における物理的な、そしてデジタルな観点から職場の改善に向けたイニシアティブを理解することができるはずだ」と述べるとともに、「CIOは正しいものごとに着目して、新たなテクノロジを創造的な活用に向けて実験的に配備し、何が起きるかを見届けられる分野について考えられるはずだ」と述べた。
#3:よりスマートな職場を生み出すために既存能力をリファインする
小売業Bodenのデジタルエクスペリエンス責任者を務めるPhil Lewis氏によると、同社は最近、ロンドンの新しいオフィスに移転し、新環境の立ち上げと運用に向けて多大な投資を行ったという。同社はアジャイルな作業の進め方に大きな比重を置いていたが、Lewis氏はテクノロジに対する取り組みの多くは基本的なインフラ要素として受け止められるようなものだったと述べた。つまり、音声起動システムなどは含まれていないという。